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  • 2021/11/17

「GDP」「偏差値」は意味がない? 人生100年時代に必要な“指標の考え方”とは

山口揚平氏×山口周氏対談:

「今後の経済成長の鍵を握るのは次世代資本主義」──。2021年4月に『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』(SBクリエイティブ)を上梓した山口揚平氏と、同書の帯に推薦コメントを寄せた山口 周氏の対談の後編では、「なぜいち早く中国がGDPをやめたのか」についての論考から始まり、自己成長や人生の充実度を高めるための「リカレント教育」についての議論が白熱した。

構成:ビジネス+IT編集部 山田竜司

構成:ビジネス+IT編集部 山田竜司

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山口 周氏(左)と山口 揚平氏(右)


中国が「GDP伸長レース」から離脱した理由

山口揚平氏の書籍『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』(SBクリエイティブ)は「天才性は誰にでもある」という発想を軸として、過去の振り返りや意識の向け方を言語化することで自分を最大限に生かせるメソッドが紹介されている。一方、山口 周氏は自著『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』(プレジデント社)の中で、現代を「高原社会」と捉えている。高原とは、人類の「物質的不足の解消」が実現されつつあり、高度な経済的成長が緩やかに低下する様子を比喩している。2人の対談は、これからの産業の在り方、特に資本主義という観点に話が及び、山口揚平氏が口火を切った。
山口揚平氏(以下、揚平氏):周さんが提唱されている「高原時代」「高原主義」について、あたらためてお聞かせいただけますか。

山口 周氏(以下、周氏):高原主義とは、哲学の認識論の話です。たとえば、「経済が成長しない」とネガティブな語られ方をするのに対して、「経済成長というタスクが完了した」という言い方に換えると、ポジティブな解釈になりますよね。

 日本のGDPはここ10年でほとんど成長していません。ただ、GDPを成長させる方法は非常に簡単です。1つは「戦争を起こす」こと、もう1つは「自然災害などの大規模な危機からの復興」だと思います。

 大規模な危機は人工的には起こせませんが、一度戦争が起きると経済が活性化されるのは理解できるでしょう。要するにある種の「破壊」が必要になるんです。破壊の対義語は「完成」で、完成状態になるとGDPは上がらなくなる。

 日本は、経済と複利とテクノロジーの力を使って「安全・快適・便利」という3つの文明価値のコンプリートを、世界で最初に実現した国です。そのため、いまだに「経済成長を実現したい」と言える立場にあります。経済成長やGDPの伸長を掲げている自体が、もう時代遅れでビハインドを持った国になっていると考えています。

 先日、中国政府が発表した5カ年計画では、GDPの目標が掲げられていません。中国ではGDPを外して、成長をもう目指さないという姿勢を打ち出しています。政治的、特に外交面での配慮はあると思いますが、中国が持っていた「人口ボーナス」(総人口に占める生産年齢人口の割合が上昇し、労働力が豊富な状態となることで経済成長が促進されること)が今後はなくなると考えられ、高いGDPの成長率を維持できなくなります。

 また、中国では日本よりも「格差」の問題が深刻化しています。その解決をしなければなりません。GDPは米国が世界に押し付けた物差しなので、指標そのものが米国が一番に燃えるようにデザインされているわけです。なので、その物差しを受け入れることは、まさにその支配下に入るということだと思います。ローマ帝国に入るんだから、ローマの度量衡を使え、貨幣を使え、となるわけですね。

 世界中の国がGDPを軸とするレースに挑んでいることは、暗に米国のゲームに絡め取られていると思います。中国が最初にGDPを国の政策目標から外すことを発表したので、「政治センスがいい」と思いましたね。

 日本もGDPは伸びていないのだから、野村(克也)監督じゃないけど「何年かやってできなかったら、やり方を変えてみること」と言いたくなります。でも、なぜか皆、GDPという指標が好きですよね。

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山口 周氏

自己解放を実現できるかを測れる社会の仕組みが求められている

周氏が解説した経済・社会の成長指標を受けて、揚平氏は今後の時代を形作る新たな指標についての見解を示す。
揚平氏:おっしゃる通りで、これからは独自の指標が欲しいところです。以前、GNH(国民総幸福量)という概念が注目を集めた時期もありました。ただ、その指標を明確に言語化したり、数値化したりすることは難しいですよね。

 個々人の幸せをどう測るのか、あえて数値化するなら血液検査や脳内物質の分泌バランスをみていくことになるかもしれません。そうした意味では、ヘルステックが進展してウエルネス (Wellness:健康観) 、ハピネス(幸福度)などを測り、それをGDPなどの指標と関連付けていくような取り組みが出てきてもいいのではと思います。

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山口揚平氏(事業家・思想家)

周氏:僕は、ファンダメンタルな要件が重要だと思います。たとえば、マクロ経済の指標の1つである「ジニ係数」(所得格差の指標)や格差の度合い、1人当たりGDPなどは当然みる必要があります。

 ただ、1人当たりGDPについては、大きな変化が起きるとは考えにくいですね。なので、ジニ係数が増えて格差が拡大することを解決する必要があると思います。

 現在の日本は、仕事に対するエンゲージメントのレベルがすごく低い。たとえば、ギャラップなど複数の調査結果にも表されていますが、日本では「仕事が面白い」と思って働いている人がすごく少ない。「自分が天職だと思ってやっている仕事に就いている人がわずか」となると、社会が閉塞するのは当たり前だと思うんです。結果的にGDPも伸びることはありません。

【次ページ】「偏差値」「GDP」以外の指標をどのように考えるべきなのか

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