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- 2022/03/28 掲載
グーグルが史上2番目の買収。なぜ6,000億円もかけてセキュリティ企業を買収したのか
グーグルのサイバーセキュリティ企業買収計画
2022年3月上旬、米メディアThe Informationは、グーグルがサイバーセキュリティ企業Mandiantの買収に向け交渉を進めていると報じた。同メディアによると、Mandiantは2020年に起こったロシア政府による米連邦政府をターゲットにしたサイバー攻撃「SolarWinds ハッキング」を発見した企業。もしグーグルが同社を買収すれば、グーグルはクラウド事業を強化し、競合であるマイクロソフトに対する競争力を獲得できるだろうとしている。これに関して、マイクロソフトもMandiantの買収に関心を示しているという。
その直後CNBCは、グーグルによるMandiantの買収額は、1株23ドル、計54億ドル(約6,359億円)となり、グーグル史上2番目に大きな買収になると報じている。これまでの最大は、2012年のMotorola Mobility買収で、買収額は125億ドルだった。現時点でこれに次ぐのは2014年のスマートホーム企業Nestの買収(32億ドル)だ。
中国のサイバー攻撃を暴いたMandiant
グーグル史上2番目の規模となるMandiant買収。数あるサイバーセキュリティ企業の中で、なぜMandiantが選ばれたのか。Mandiantとはどのような企業なのか気になるところだ。
Mandiantは、2004年に元米空軍士官であったケビン・マンディア(Kevin Mandia)氏によって創設された企業。創設時は、Red Cliff Consultingという企業名であったが、2006年にMandiantに社名を変更した。
設立時の社名にコンサルティングと付いているように、Mandiantはサイバーセキュリティのコンサルティングサービスに強みを持つ企業だ。特に、サイバー攻撃を仕掛けてくる集団やその手法に関する情報とそれを踏まえた防衛手段のコンサルティングに長けている。
2013年2月には、中国人民解放軍(PLA)が米国を含めた英語圏の141の組織に対しサイバー攻撃を行っていたという証拠を含むレポートを発表し注目を集めた。
その後2013年12月、Mandiantは別のサイバーセキュリティ上場企業FireEyeに10億ドルで買収され、FireEyeの子会社となった。買収されるまで、FireEyeは自社でサイバー攻撃を検知した後、その攻撃がどの組織によりなされているのかという分析でMandiantと連携することが多かった。
2021年6月、FireEyeはプロダクト事業とその名称をSymphony Technology Groupに12億ドルで売却。これにより、MandiantはFireEyeから分離され、上場しているナスダックのシンボルもFEYEからMNDTに変更された。
【次ページ】Mandiantによるウクライナ情勢分析
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