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  • 2022/07/18 掲載

アマゾンが低価格住宅を提供、イーロン・マスクも「プレハブ住まい」と噂の新潮流

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インフレが加熱する米国市場では、不動産価格も一部地域の中央値で2.5億円にのぼるなど高騰しており、住民の生活は逼迫状態にある。こうした中、アマゾンは本拠地を構えるシアトルで数百万円程度の低価格・手頃価格で住宅を普及させる取り組みへの投資を加速させている。こうした取り組みは、グーグルやアップルはじめ、他のGAFAMも実施中だ。米国の住宅価格高騰問題はどれほど深刻なのか、またその反動で関心が高まっている低価格住宅をめぐる最新動向を探る。

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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アマゾンが31億円を出資する低価格住居
(出典:アマゾン)

アマゾンが低価格住宅供給の取り組み

 もともとベイエリアなど一部の地域を中心に住宅価格の高騰が深刻化していた米国だが、インフレにより状況は悪化の一途だ。

 こうした状況下、2022年6月24日、アマゾンは「Amazon Housing Equity Fund」を通じて、2,300万ドル(約31億円)を出資し、同社が本社を構えるシアトル地区で568戸の低価格住宅を提供する計画を発表した。特に、黒人、ヒスパニック、アジア系住民の住宅購入支援にフォーカスした取り組みという。

 同ファンドによる住宅購入支援は2021年1月に始まったもので、シアトル・ピュージェット湾地区だけで、これまでに3億6,000万ドル(約490億円)を投じ、3400戸以上の低価格住宅供給を行ってきた。

 ファンドの資金は、シアトル地区での低価格住宅支援を行う3つの団体に投じられ、各団体が住民への低利率住宅ローンの提供を行うことになる。

 団体の1つは、シアトル東南地区のコミュニティ開発に従事するMount Baker Housing Associationだ。ファンドとの提携により、これまで1,520万ドル(約20億円)分の低利率ローンの貸し出しを実施、主に2つの開発プロジェクトで建設されている低価格住宅の購買支援を行っている。

 シアトル東南地区で進められている開発プロジェクトの1つ「Grand Street Commons」では、204戸の新築低価格住宅が建設されており、同地区収入中央値の60%以下の価格で提供されることになるという。アマゾンのファンドからは、750万ドル(約10億2,100万円)がこのローン支援に配分される。

 もう1つのプロジェクト「Mount Baker Village」では、住宅155戸分が確保されており、こちらも同地区収入中央値の60%以下の保証価格で提供される。アマゾンファンドからは、770万ドル(約10億4,800万円)が拠出されるという。

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(Photo/Getty Images)

アップルは25億ドル、グーグルは10億ドルで住宅供給支援

 アマゾンが住宅支援を行うこのピュージェット湾地区は、マイクロソフト、グーグルなどもオフィスを構える地域だ。

 テック企業がオフィスを構えることで、地域経済が活性化するという利点がある一方で、住宅価格の高騰問題が発生することも多く、テック企業による住宅支援の取り組みはこれまでさまざまな地域で行われている。

 たとえばピュージェット湾地区ではアマゾンのほか、マイクロソフトが住宅支援に750万ドル(約10億2,100万円)を投じている。

 また他の地域では、2019年にアップルが住宅価格高騰の問題がひどいといわれたサンフランシスコで25億ドル(約3,400億円)、グーグルが10億ドル(約1,360億円)を投じるなどGAFAM企業による、住宅支援取り組みの事例は実は枚挙にいとまがない。

 2019年11月に発表されたアップルによる25億ドルの住宅支援計画では、低価格住宅投資ファンドに10億ドル、初回購入者向けローン支援に10億ドル、アップル所有の土地における低価格住宅建設に3億ドル、ベイエリア住宅ファンドに1億5,000万ドル、社会的弱者向け支援に5,000万ドルが拠出される計画が明記されていた。

 一方、グーグルはこのアップルの発表の半年前、2019年6月にサンダー・ピチャイCEOによるブログ投稿を通じて、ベイエリアの住宅価格高騰問題への対応として、今後10年間で10億ドル(約1,360億円)を投じ、住宅2万戸を建設する計画を発表している。

 10億ドルのうち、同社のオフィススペースを住宅1万5000戸分に転換するのに7億5,000万ドル、低価格住宅5000戸の建設を促すデベロッパー向けのインセンティブに2億5,000万ドルが投じられる。またホームレスのシェルター支援に5,000万ドルが追加支援されるという。

【次ページ】上昇止まらないベイエリアの住宅価格、中央値2億5,000万円近い地区も

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