• 会員限定
  • 2022/10/08 掲載

Amazon Auroraとは何かをわかりやすく図解、RDSとどう違う?

連載:全部わかるAWS入門

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
Amazon Auroraとは、Amazon RDS(Relational Database Service)のデータベースエンジンの1つであり、クラウドの普及に伴って、Amazonがその内部アーキテクチャを再設計したデータベースのこと。今回は、オープンソースソフトウェア(OSS)やプロプライエタリなラインセンスを持つさまざまなデータベースエンジンを選択できるAmazon Auroraについてわかりやすく解説していきましょう。

執筆:川畑 光平、菊地 貴彰、真中 俊輝

執筆:川畑 光平、菊地 貴彰、真中 俊輝

川畑 光平(かわばた・こうへい)
エグゼクティブ ITスペシャリスト、ソフトウェアアーキテクト・デジタルテクノロジーストラテジスト(クラウド)。金融機関システム業務アプリケーション開発・システム基盤担当、ソフトウェア開発自動化、デジタル技術関連の研究開発を経て、クラウド技術に関する研究開発・推進に従事。
AWS Partner Ambassadors / APN AWS Top Engineers since 2019。

菊地 貴彰(きくち・たかあき)
シニアITスペシャリスト(クラウド)。システム基盤担当として公共、金融、法人の各業界のシステム開発に従事。現在は学生時代の専攻である機械学習のノウハウを活かしつつ、デジタル技術やAgile開発プロセスを用いたシステム開発を中心に担当。AWS Partner Ambassadors、APN AWS Top Engineers、APN ALL AWS Certifications Engineersに選出。

真中 俊輝(まなか・としき)
NTTデータに入社後、クラウドを中心とした公共、金融、法人のシステム開発の支援やクラウド人材の育成を担当。2019-2020年にAWS APN Top Engineersに選出。

本記事は『AWSの基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書』の内容を一部再構成したものです。

Amazon Auroraの概要

 Amazon Auroraは、RDSのデータベースエンジンの1つであり、クラウドの普及に伴って、Amazonがその内部アーキテクチャを再設計したデータベースです。

ここがポイント
  1. Auroraは、クラウド環境に最適化するよう、内部アーキテクチャをAWSが再設計したリレーショナルデータベース
  2. RDSと比べ、可用性やデータ同期・フェイルオーバーの高速化など性能が向上(性能は向上しているが、オンラインレスポンスが高速化するという意味ではない)
  3. 内部アーキテクチャがクラウドに最適化されているため、RDS より低コストで構成できる場合もある

Auroraの概要とアーキテクチャ

 Auroraは、RDBの特性である一貫性を持ち、RDSが持つリードレプリカといったハイパフォーマンスのための特徴を維持しています。

 AP型データベースと同様、Quorumに基づく結果整合性でデータを分散して保存するストレージクラスノードクラスタを採用することで、高可用性を実現しています。そのため、あるアベイラビリティゾーンで障害が発生した場合でも、データベースを継続して運用することができます。RDSと違い、マルチアベイラビリティゾーン配置でスタンバイデータベースを作成する必要はありません。

画像
Amazon Auroraのアーキテクチャ

Auroraの特徴

 Amazon Aurora には次のような特徴があります。

■より高速なデータ同期・フェイルオーバー
 プライマリインスタンス、リードレプリカともに、3つのアベイラビリティゾーンにレプリケートされた同じクラスタボリュームのデータコピーを参照するので、レプリカの非同期更新時間が小さくなっています。プライマリインスタンスに障害が発生した場合は、RDSより高速にリードレプリカへフェイルオーバーすることができます。
■自動ストレージ拡張
 データは10GBずつ「protection groups」と呼ばれる論理的なグループに保存され、64TBまで自動的にスケールアップすることができます。
■さまざまなエンドポイント
 RDSと同様、プライマリインスタンスを指し示す「クラスターエンドポイント」とリードレプリカを指し示す「読み取りエンドポイント」があります。また、ユーザがワークロードに応じて任意にレプリカを設定する「カスタムエンドポイント」を定義できます。
■リードレプリカのオートスケーリング
 Auroraのリードレプリカは、メトリクスに応じて自動増減する「オートスケーリング」に対応しています。リードレプリカへの読み取りクエリの分散や、リクエストの増減分に応じたコスト最適化が可能です。
■DBバックアップ機能の拡充
 RDSと同様、自動バックアップが常に有効になります。バックアップでもパフォーマンスに影響を与えることなく、セグメントごとにS3へ継続的にスナップショットが保存されます。

 バックアップは、前回バックアップ時から追加・更新された部分のみを記録する増分バックアップで行われます。バックアップウィンドウで時刻を指定する必要はありません。データをある時点に戻すBackTrack機能もサポートされます。
■クロスリージョンデータベースの性能向上・低価格化
 RDSと同様、クロスリージョンでのデータベースレプリケーションが、オプションとしてサポートされます。クロスリージョンは、1つのプライマリAWSリージョン(データを管理)と、最大5つのセカンダリAWSリージョン(読み取り専用)で構成されます。

 各リージョンへの展開は、DBインスタンスがなくストレージクラスタボリュームのみになるため、より高速かつ低価格でのレプリケーションが可能です。
■パラレルクエリ
 ストレージノードに搭載されたCPUを活用し、多数のストレージノードに対して並列にクエリを実行し、高速にスキャンすることができます。

 Auroraのデータベースエンジンには、MySQLとPostgreSQL互換のバージョンが提供されています。これまで説明してきた通り、その内部アーキテクチャは従来のオープンソースのものと大きく異なるため、あくまで互換です。

 サポートされているバージョンや機能制約はそれぞれ公式ガイド「Amazon Aurora MySQLの概要」および、「Amazon Aurora PostgreSQLのデータベースエンジンの更新」を参照してください。

【次ページ】Aurora Serverless

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

Cloud Security Day 2024

企業の経済活動の中心がWeb上へと移行しクラウド化が加速している中で、今やクラウド活用は企業の成長に欠かせない「インフラ」になっています。その一方で、急増するサイバー攻撃によりクラウド環境のセキュリティ対策の必要性がますます高まっています。 事業成長の拡大を図る中で、クラウドセキュリティ対策は多くの企業にとって避けては通れないどころか”最重要優先項目”となってきています。 そこで、本イベントでは、AWSに精通したメンバーによる「事業の成長に繋げるためのこれからのAWS セキュリティ」をテーマに語ります。 異なった企業規模・業種・事業フェーズにおいて、それぞれどのような優先順位・組織体制でセキュリティ強化に対応していったのか、AWSをどのように活用したのか、直面した壁や課題をどう乗り越えていったのかなど実際の事例をもとに赤裸々にお伝えいたします。 企業のミライに繋がるこれからのセキュリティを築いていくためのエキスパートたちのベストプラクティスを大公開! セキュリティ管理者、サービス・プロダクト開発を担当している方、IPOを目指している企業の方、AWSの構築や運用の担当している方などにお役に立てる情報が満載です。 ぜひこの機会にご参加ください!

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます