山口 伸
経済、不動産分野のライター。小売・飲食を中心とした企業分析記事や、都市開発、不動産市況に関する記事を手がける。理系の会社員だったが、ライター業に専念するため独立した。趣味で簿記・ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。
少子化の影響でで受験生の総数は減っている。しかし、学習塾・予備校市場全体の売上高は過去20年間で約2倍と大きく伸び、大手各社も増収を続けている。市場を支えているのは、複数のプログラムを組み合わせ、生徒1人あたりの売上高を高める戦略だ。一方、難関大学への合格実績で知られる大手予備校「駿台」は、2026年度入試から大学別・一部学部別の合格者数の掲載を取りやめる。一般選抜以外の入学者が過半数を占めるようになり、複数の塾や教材を併用する受験生も増える中、「東大〇人」という数字だけでは予備校の実力を測れなくなった。塾は今、授業を提供する場所から、受験プロセス全体を管理する場所へ変わろうとしている。業界で進む収益モデルと競争軸の転換を読み解く。
1990年代後半から2000年代にかけて、全国のテーマパークや遊園地は次々と姿を消した。ところが市場規模は2000年代当初の3,000億円規模から、現在では8,000億円超へと伸びている。年間入園者数も 5000 万人台から 7000 万人台に増えた。苦戦を強いられる施設と、今なお人を集める施設の両者を分けたのは立地でもアトラクションの数でもない。サンリオやUSJ、ディズニーは、いずれも“ある武器”を軸に復活・成長を果たしてきた。一方、2025年7月の開業から1年が経った「ジャングリア沖縄」は、年間利用者数が目標を下回り、後半は失速している。各施設の明暗を分けたものの正体やジャングリア沖縄の勝算を読み解く。
ニコンの2026年3月期業績は、売上高6,772億円と前年度比で5.3%減少し、営業利益はマイナス1,124億円(前年度は24億円)と大幅な赤字を計上した。この赤字の主な要因は、金属3Dプリンター関連の事業における巨額の減損損失だ。同社は長年、カメラなどの「映像事業」と露光装置を扱う「精機事業」を主力としてきた。しかし、カメラはスマートフォンの普及により需要が縮小し、露光装置も強力な競合を前に苦戦が続いている。次なる切り札として注力した金属3Dプリンター事業も、想定していた需要を開拓できていないのが実情だ。本稿では、10年以上にわたるニコン苦戦の要因と、巨額赤字の背景にある新規事業の現在地について詳しく解説する。
たばこが吸えるカフェ「喫茶室ルノアール」を中心にカフェチェーン約120店舗を展開する「銀座ルノアール」は2026年3月、26年3月期第3四半期に特別利益として「受取補償金」5,100万円を計上する見込みだと公表した。実際に同年5月14日に公表された2026年3月期の決算資料によると、同期に受取補償金5,189万円を計上した。銀座ルノアールが計上する「受取補償金」とは、立ち退きを求めたテナントオーナーが銀座ルノアールに支払う”立ち退き料”のことだ。住宅・店舗・事務所問わず、一般的にオーナー側の都合で立ち退きが発生する場合、オーナーは賃借人に立ち退き料を支払わなければならない。そして巷では、「ルノアールは立ち退き料で利益の3分の1以上を稼ぐ」と言われている。実際に立ち退き料はどの程度銀座ルノアールを支えているのか、同社の特異なビジネスモデルを解説していく。