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- 2023/07/03 掲載
マッキンゼーに聞く“DX失敗”の原因、SXとの両立や内製化など「論点総ざらい」
景気後退期に「見せかけのDX」では“死”を迎えるのみ
すでに多くの日本企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み、それなりの成果を上げつつあることをお話しました。ただし現在、地政学リスクの影響、深刻な人手不足、急激なインフレ、米国で景気後退観測が高まるなど企業を取り巻く環境が厳しさを増しています。もはやIRのためのDX、見せかけのDXをやっている場合ではないでしょう。今までは、余裕を持っていてDXに取り組めた時期でした。ほとんどの日本企業は「そこまで本気にならなくてもウチがつぶれることはない、他社と同じことをやって企業価値も毀損しないようにしよう」と考えられていたと思います。一方、他国を見ると、コロナ禍をきっかけに本気でDXに取り組み、ビジネスモデルを変革した企業がたくさんあります。
サプライチェーンも足元揺らいでおり、国内市場も縮小する中、海外企業と真っ向勝負で戦わなければなりません。だからこそ、デジタルやデータをどう活用するかを真剣に考えるタイミングです。それを怠れば、企業価値が下がってどこかに買収されるかもしれないし、つぶれるかもしれない。
そんな中、世界ではDXの取り組みを一気に加速させた企業が多く現れました。今の厳しい状況は、言葉を変えれば、千載一遇の「変革の追い風」と捉えることもできるのです。
“DX失敗”のショーケースに並ばないために
もちろん「いやいや、当社は本気でDXに取り組んでいる」という企業も多いでしょう。しかし、うちは「本気だ」と主張しても、それだけでは不十分です。DXはトップダウンで戦略を立ててから実行に移すという順番が重要です。ところがDXが現場に丸投げされているケースが散見されます。課題を探しツールを入れて改善を目指すボトムアップ型の取り組みだけでは、デジタル化によるコスト削減に留まってしまうのです。これではビジネスモデルを変革したり、新しいビジネスを創ってトップラインを上げたりすることは不可能です。
経営層以外の役職者が「DXをやれ」と部下に指示し、一部のテクノロジーを採用しつつ、担当部門でのコスト削減や生産性向上にまい進する姿こそ「“DX失敗”のショーケース」に並ぶ典型例なのです。
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