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- 2019/03/04 掲載
CIOこそ注力せよ カスタマーエクスペリエンス先進企業「10の習慣」とは
松岡功「ITキーワードの核心」:第10回
フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。危機管理コンサルティング会社が行うメディアトレーニングのアドバイザーも務める。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。
グローバル先進企業と大差がついた日本企業のCXへの取り組み
デジタル変革の話の中で頻繁に出てくる言葉だが、いつも気になっていたので最初に一言述べておきたい。なお、英語表記Customer Experienceから「CX」と略されているので、本稿でも以降はCXと表記する。
このCXをテーマに、ガートナージャパンが先頃都内で開いた「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス&テクノロジーサミット2019」において、米Gartnerバイスプレジデント兼アナリストのオリーブ・ファン氏が語った内容が非常に興味深かったので、今回はその内容を基に考察してみたい。
ファン氏の講演の題目は、「デジタルビジネス時代における顧客中心型組織の10の習慣」。顧客中心主義で成功している企業に共通する10の習慣を挙げたものである。
同氏は講演にあたり、「顧客中心型の企業は、顧客を中心に据え、顧客に固有の課題と期待、およびニーズの背景を理解しながら、その期待に応える製品やサービスを一貫して提供している。顧客中心主義の推進は、デジタル変革の実現に向けて、CXリーダーやCIO(最高情報責任者)が検討すべき領域である」との見解を示した。
そして、図1の調査結果を示しながら、CXを改善するための取り組みとして日本企業とグローバルの先進企業に同じ質問をしたところ、歴然とした差があったことを紹介。
同氏は「日本には顧客を手厚くもてなす文化があるはずなのに、こんなに差があるとは非常に驚いた。すなわち、日本の文化がデジタルの世界で生かされていないということだ。日本企業はこのことに強い問題意識を持つべきだ」と警鐘を鳴らした。
では、どうすればよいのか。その対策として同氏が示したのが「顧客中心型組織の10の習慣」である。まずはその内容を図2に挙げてみた。
黄色の文字は特に重要なポイントである。また、1から10まで単に列記してあるだけでなく、実はこの順番にも流れがある。それを踏まえつつ、以下、それぞれの要点を説明していこう。
【次ページ】顧客中心主義で成功している企業に共通する10の習慣
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