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  • 2023/07/26 掲載

マッキンゼーに聞く生成AI、サム・アルトマン氏との対話で感じた「人間の役割」とは

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現在、多くのメディアをにぎわしているのがChatGPTを初めとする生成系AIだ。すでにChatGPTの機能を組み込んだ各種サービスも登場している。では、企業はこうした生成系AIとどう向き合い、活用していけばよいのだろうか。OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏と直接会って話をしたというマッキンゼー・デジタル パートナー 工藤 卓哉 氏が語った。

執筆:井上健語 聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 山田竜司

執筆:井上健語 聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 山田竜司

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マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー工藤 卓哉
マッキンゼーのAIセンター・オブ・エクセレンス「QuantumBlack※」の日本のリーダー。デジタル&アナリティクス・ソリューションのパイロットから本格的な導入・拡大まで、企業の変革を支援する。生成AIの北米の特許を保有。慶應義塾大学卒、カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス、意思決定工学・科学 情報技術修士(MS)、コロンビア大学国際公共政策大学院Environmental MPA取得。米国に17年在住し、ニューヨーク市ではデジタル担当ディレクターとして医療費抑制政策など先進公共政策をデータドリブンに推進。アクセンチュアのアナリティクス北米統括、データサイエンスCoEのグローバル統括を経て現職に就任(※データアナリストとコンサルタントが協働し、最新のAI技術やアドバンストアナリティクス技術を活用した企業データ戦略などに注力している)。

企業は生成AIをどのように活用すべきか

 OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が来日した際、直接会って話を聞く機会がありました。そこで彼は、Chat GPTだけでなく、敵対的なテストプログラムからの教訓を用いて、事実性、操縦性、ガードレールから外れることを排除することを心掛けるべく、GPT-4の調整を約6カ月間実施するプロセスを実施したと述べていました。

 これは"人間らしさ"を実現するための調整です。専門の担当者を付けて「人間だったらこのように反応するだろう」という回答の調整作業(Human Alignment)を、相応のコストをかけて実施したということです。

 これを私は、ファジーさの追求だと理解しました。人間は同じ質問を受けても、毎回、答えや表現が微妙に変化します。こうした人間が持つファジーさ、曖昧さみたいなものをGPT-4では追求したのだと思います。

 ただ、企業の場合、ChatGPTをそのまま利用することはないと思います。セキュリティも不十分ですし、こうしたファジーさも企業には適さないからです。このためOpenAIでは、APIを提供して企業がカスタマイズできる仕組みを用意しています。

 企業がLLMモデルを使うならセキュリティが堅牢で、企業で利用するためのアライメントが可能であることが条件でしょう。

企業が生成系AIを活用するための条件

 GPT-4では、アラインメントを通じて人間らしさ、ファジーさ追求していますが、企業で利用する際にはこうしたファジーさはマイナスです。APIを使って必要なデータを学習させて、曖昧さがないように回答の精度を上げるべきだと思います(※この追加学習についてはGPT-4やー3.5については、7月25日時点では対応していません)。

 なぜなら、企業でのAI活用はインパクトがすべてだからです。業務の生産性向上や顧客の満足度向上といったポジティブなインパクトがなければ、AIを導入する価値はありません。少なくとも、技術的に面白いから、他社がやっているからといった理由で導入すべきではないと思います。

 ですからマッキンゼーとしては、セキュリティが担保されていて、しっかりとインパクト設計して本当に活用できる領域があるなら、ChatGPTやCohereなどの生成系AIを積極的に活用すべきだと考えています。

 なお、先ほど企業にファジーさは適さないといいましたが、たとえばサポートなどで顧客を待たせないためにChatGPTを導入するのはありだと思います。多少ファジーであっても、回答が曖昧であること、正確な情報が必要な場合はオペレータにつなぐことが明示されていればよいのではないでしょうか。

 やはりここでも、重要なことはプラスのインパクトがあるかないかです。あるのであれば、積極的に活用すべきです。

画像
早期インパクトを生み出す可能性のある生成AIの活用事例
(出典:マッキンゼー 生成AIの出現
【次ページ】サム・アルトマン氏との対話で感じたAIにはできない「人間の役割」

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