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  • 2024/01/08 掲載

震災・大災害で役に立つ“直感力”を高めるコツとは? 稲盛和夫の「危機管理入門」

連載:小倉健一の最新ビジネストレンド

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2024年1月1日に発生した能登半島地震は、最大震度7を観測し、広い地域に大打撃を与えた。NHKによると、1月3日時点で、335カ所の避難所が開設され、合計で約3万3000人が避難生活を送っているという。日本にいる限り、地震による被害を避けることは難しい。そこで、今回はこうした震災や大災害で頼ることになる「直観力」を高めるコツを紹介する。
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震災の被害を避けられない私たちに求められるものとは
(出典:AP/アフロ)

日本にいる以上避けられない大災害

 今回の能登半島地震の中でも、震度6弱を観測した石川県能登町では、「各地で倒壊した家屋が見られた。高台にあり避難所となっている同町崎山の能都体育館周辺には多くの人が押し寄せ、『家つぶれてもうたわ』と涙ながらに電話をかける人もいた」(東京新聞)という。

 NHKによると、1月3日時点で、能登町は、人口1万5028人(外国人159人)の1/3にあたる5200人が避難所にいる。避難所の1つである能都中学校では、「停電や断水が続く中、備蓄していた食料が2日夜、底をついたということです。3日に配布できたのは、国から届いたパンや民間の事業者が差し入れた雑炊だけだったということです。町によりますと、地震の規模が大きかったことや年末年始で帰省していた人たちが多くいたことで避難者が想定を大幅に超えているため、物資の支給が追いつかない状況になっている」という。

 現在も自衛隊や行政による懸命な救助活動が続いている。少しでも被害が小さく収まるよう祈りながら、状況を見守っていきたい。 

 それにしても、日本はどこにいても災害に遭うことは覚悟しないといけないだろう。たとえ直接的な被害がなかったとしても、関係企業や友人が被害に遭うこともある。今回、被害がなかった人々でもあっても、こうした大災害への備えをしておくべきだろう。

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いざという時のために事前の備えが求められる
(Photo/Shutterstock.com)

「経営の神」が教える災害下での決断力

 私の手元に「経営者たちの大震災 稲盛和夫と経営者たちが語るクライシスマネジメント」という本がある。発行日は、1996年(平成8)1月17日と、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災のちょうど1年後に発行された。

 内容は、大震災を被災した経営者たちが、どのように考え、迷い、行動したか。その報告に答える形で、「経営の神」と呼ばれる稲盛和夫氏が、大災害下のビジネルリーダーがどう決断すべきかを説いている。

 今回は、そのうちの1人、六甲バターの塚本哲夫(当時、代表取締役社長)氏の発表を紹介しよう。本稿はかいつまんで説明するため、必要に応じて原文にあたってほしい。

 まず、阪神淡路大震災の説明をしておこう。1995年1月17日午前5時46分ごろ、震源地は淡路島付近、マグニチュードは7.2と推定される大地震。死者は5738人、多くの住宅、ビル、橋、道路などが倒壊または大きな損傷を受け、特に神戸市や西宮市、姫路市などの被害が甚大であった。

 この地震により、経済的な損失は膨大で、日本国内外で大きな経済的影響を及ぼした。多くの企業が被害を受け、生産活動が停止し、商品供給に支障をきたした。

 六甲バター、塚本氏の報告によれば、
  1. 本社の被害は軽微だったが、神戸港の倉庫に保管していた輸入品の原材料や商品がほとんどダメに。特にバレンタインデー用のチョコレートが壊滅し、被害額は1億円程度となった。

  2. 震災直後は、自分で見た状況でしか判断できなかった。ラジオもテレビもダメだった。たまにしか通じない電話で状況を判断し、震災当日に電気が通じて状況がわかった。

  3. 震災翌日会社で、出社できた数名の社員に、従業員の安否確認、被災者への自社製品の寄付、本社幹部を集める、という指示を出す。これもかっこよくパパッと決められたわけでなかった。

  4. 3日目にやっと会社が本格稼働できた。お得意先への商品供給を切らさないことを先決に。東京で「六甲バターは地震の被害で商品がないと言っている」という噂がでていたことで、危機感が高まった。とにかく品切れを起こさないようにした。
 というものだった。その中で、塚本氏が稲盛氏にどのような質問を投げかけたのかをみていこう。 【次ページ】災害時に役立つ“直観力”は養えるのか
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