• 2007/06/04 掲載

「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介

<イベントレポート>システム運用管理の処方箋セミナー

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2007年5月29日(火)、東京・浜松町の世界貿易センタービルで、「システム運用管理の処方箋セミナー~導入事例から見る解決策」(主催:ソフトバンククリエイティブ/共催:NEC)が開催された。ビジネスの成長に比例してITシステムの複雑化は進み、現在は内部統制対応という新たな課題も加わっている。セミナーでは、運用管理に求められる要件が24時間365日の安定稼動から運用プロセスに対する統制強化へと高度化するなかで、求められる最適な運用管理とは何かをテーマにセッションが行われた。

現代の複雑化・高度化したシステムには
自動化&統合化された管理が不可欠


【ITアーキテクト】 「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介
セミナー当日は多くの来場者が集まり
関心の高さを表した
 現代におけるITシステムの運用管理は、かつてのように「動いていればよい」、「停まらないことが第一要件」といった単純なものではもはやない。複数のしかも目的も役割も異なるシステムが社内外に立ち上げられ、それらがネットワークで結ばれている環境下での運用管理とは、単に一つ一つのサーバの稼働を維持する作業にとどまらない。物理的なハードウェアや事業部門の壁を超えて、それらが構成するタスク空間全体を最適に維持するといったレベルの発想が必要になってくるのだ。

 具体的には、ある一つの業務システムの動作がトリガーとなって、関連するいくつものシステムの間でデータの受け渡しや処理のプロセスが発生する。その一連のワークフローやインシデント時の対応体制、セキュリティ確保といった細部にいたるまでが有機的に連携し、最適の処理をもっとも効率的な手順で実行していくことが望まれる。

 だが、実際にWebシステムに異常なアクセス集中やアタックが起こったとき、ネットワークの切断やデータベースの保護を人手で行っていたら間に合うだろうか。サービスレベルを向上させようとしてソフトウェアのバージョンアップを行っても、各部署のサーバへのインストールが人任せだったら、かえってバージョンの混在を招くだけにならないだろうか。

 従来の属人的なオペレーションで全体を管理するには、現代のシステムはあまりに高度かつ複雑であり、インシデント対応に許される時間は限られている。もはやシステム運用管理に特化した、専用のITソリューションによる自動化と統合管理以外に、現実的かつ有効な解はないのである。 今回のセミナーでは、そうした見地に立ってITシステムの運用管理を研究してきたNECおよびNECネクサソリューションズによるツール紹介と、実際の応用例が紹介された。


「全体統制型システム運用管理」を実現する
画期的なソフトウェア「WebSAM」


【ITアーキテクト】 「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介
山崎氏によるセッションの様子
 最初のセッションのスピーカーとして立ったNEC 第一システムソフトウェア事業部 山崎正史氏は、「今、時代が求めるシステム運用管理とは~全体統制型システム運用管理」と題して、同社が提供する統合運用管理ソフトウェア「WebSAM」を中心に紹介した。

 山崎氏はまず、ITシステム運用管理に関して企業の中にさまざまな懸念が発生していることを指摘、「自社の情報システムの安定稼働に関して、ユーザーの8割が不安を抱いており、人々はサービス品質の担保を求める運用管理を望んでいる。さらに2009年3月期からのJ-SOX法施行に向けて、コンプライアンス対応とそのためのコストも懸念材料だ」と指摘した。

 山崎氏は、そうした環境下で有効なキーワードを「全体統制型システム運用管理」として提唱、従来の個別統制から企業システム前大使点での管理と統制が必要であると主張し、それを実現するソリューションとして「WebSAM」が有効であると説いた。「WebSAM」は全体統制をきわめてシンプルな運用で実現できる画期的なソリューションであり、「システムのリスクや現状の可視化」、「的確な判断のナビゲート」、「全体のリソース最適化を自動的に行って改善」といった、システム運用管理に不可欠の3つの項目を提供すると強調。「これまではインシデント対応で連絡不足や伝達経路で生ずるタイムラグなどが生じやすかった、部門間=システム間の溝をソフトウェアによって自動化し、なおかつ運用管理の過程で蓄積されたナレッジを活用するPDCAサイクルを実現することが可能だ」と述べた。


統合ITSM(サービスマネジメント)センタによる
データセンタの統合一元管理


【ITアーキテクト】 「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介
澤田氏によるセッションの様子
 2番手として壇上に立ったNECネクサソリューションズ サービス開発事業部 澤田誠氏は、「データセンタ構築事例から見るシステム運用管理のポイント」と題してセッションを展開。自社におけるデータセンタ構築のケーススタディを通じて、運用管理の重要点を解説した。

 冒頭、澤田氏は「システムの運用監視を、かつては個別のツールやまちまちの監視体制で行うケースがほとんどだった。しかしこれは非効率であり、監視レベルも現代の要求に応えるものではない。統合ITSM(サービスマネジメント)センタを設けて、各拠点のデータセンタを集中的に監視することが必要だ」と述べた。同社では、集中監視体制による効率化と冗長化、耐災害性の向上を図るべきとのポリシのもと、「WebSAM」を自社の構築する統合監視システムに採用して、2007年4月から運用を開始したという。

 このシステムでは「WebSAM」の製品ファミリから「WebSAM DC Suites」が使われた。同製品は、データセンタでのシステム運用管理に必要な機能一式をパッケージ化。数千台規模のサーバを管理できるスケーラブルな多段構成をもち、監視無停止を目的とした監視機能の正副二重化構成や監視機能自体の動作監視(健全性機能)、監視サーバに対する運用管理ソフトウェアのインストールを一括で行なう統合インストーラ機能などを実現しているという。

 澤田氏は「当社では、この経験をもとに独自の高度なアウトソーシングサービスを提供している。今回ご紹介したITSMセンタによる中央監視サービスはもちろん、IT統制支援サービスや運用クリニックなど、多彩なメニューを提供しているので、ぜひご活用いただきたい」と自信をのぞかせた。


WebSAMフレームワークによる
“ヘテロジニアスマネジメント”の事例をデモで展開


【ITアーキテクト】 「全体統合&統制型」をキーワードに内部統制時代のシステム管理の実践例を紹介
“ヘテロジニアスマネジメント”の事例を
詳細なデモで展開した藤田氏
 最終スピーカーとして登場したNEC 第一システムソフトウェア事業部の藤田朋生氏は、「多彩なニーズに即応するには~統合管理の有効性」と題して、運用管理の現状と課題を紹介した。まず藤田氏は、コンプライアンス対応、ITサービス品質向上のいずれもが、NECの提唱する「全体統制」によって実現できると説明。「とりわけコンプライアンス対応では、J-SOX法で重要視されている“アプリケーション変更時のリスクコントロール”が大切だ。そのためには開発から運用までの変更プロセスの統制が必要となる。また、サービス品質という点では、システム個別の統制ではシステム全体の可視化・最適化が難しい。『全体統制』によりITILベースの『運用管理プロセス単位』での管理を実現すれば、システム全体の横断的な対応が可能になり、サービス品質も向上する」と述べた。

 セッション後半は、業務の観点による障害監視やナレッジデータベースによる復旧支援でオープンミッションクリティカルシステムの安定稼動を実現する「WebSAM MCOperations」を紹介。大規模でヘテロなITプラットフォーム環境を、“WebSAMフレームワーク”による統一された運用管理ソフトウェアでシンプルに運用する“ヘテロジニアスマネジメント”の事例を、詳細なデモンストレーションで展開した。

 これまでのITシステム運用、とりわけ内部統制対応を含むオペレーション体制の構築については、J-SOX法の解釈の揺れともあいまって、概念論的なフェイズにとどまる例が少なくなかった。しかし今回のセミナーでは、「WebSAM」という具体的なソリューションとその活用事例が出そろったことで、明確な今後の対応指針を示すことに成功したといえよう。会場となったセミナールームの満席ぶりを見ても、ITシステムの運用管理に携わる人々がこのWebSAMに寄せる関心の高さが伺える催しとなった。

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