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- 2024/08/30 掲載
カナダ企業が「セブン買収提案」の裏事情、あのセブンでも…簡単には断れない理由とは
加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家 1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『新富裕層の研究-日本経済を変える新たな仕組み』(祥伝社新書)、『教養として身につけておきたい 戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。
北米のコンビニ事業獲得が狙い?
日本の小売最大手でコンビニ事業などを展開するセブン&アイ・ホールディングスが、カナダの小売り大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けていることが明らかとなった。セブンは社外取締役で作る特別委員会を設置し、内容について吟味している状況だ。アリマンタションは、日本ではあまりなじみがない企業だが、北米でコンビニ事業などを展開しており、北米市場について言えば、セブンとはライバル関係にある。
セブンはもともとイトーヨーカ堂というスーパーを祖業としており、後に米国でコンビニ事業を行うセブン-イレブンから権利を取得し、日本国内でセブン-イレブンを展開、破竹の勢いで業績を拡大し、現在ではコンビニ業界のみならず、小売業界でも圧倒的なナンバーワンの地位を獲得している。
その後、セブンは米国のセブン-イレブンを逆に買収することになり、最終的には米国セブン-イレブンも傘下に収めた状態にある。ちなみに北米のコンビニ市場は、セブン-イレブンがシェア1位、アリマンタション傘下のコンビニ事業がシェア2位という状況になっている。
アリマンタションによる買収の狙いは明らかになっていないが、セブンが北米でコンビニ1位、アリマンタションが同2位であるという現実を考えると、セブンの北米コンビニ事業獲得が狙いである可能性はそれなりに高い。しかしながら、普通に考えてシェア1位の会社を、規模の小さい2位の会社が買収することは簡単ではない。だが、それが実現できそうな状況になっている背景には、セブンの株価低迷と円安が大きく影響している。 【次ページ】セブンの株価はどれくらい割安か?
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