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- 2023/10/03 掲載
北海道では「セイコーマート」が断トツ強い? 王者セブンイレブンですら勝てない理由
【連載】流通戦国時代を読み解く
効率だけを追求してきた「コンビニ大手3社」の停滞
図表1は、コンビニ業界の市場規模と店舗数の時系列推移である。2017年ごろまで店舗数を増やすことで市場規模を拡大してきたコンビニ業界だが、店舗数の増加が売上の拡大につながらなくなってきた。これはコンビニ大手の全国展開が進み、コンビニの密度が過密になり始めていること、すなわち、国内市場が飽和段階に達して来たことを示すものである。そんな国内コンビニ市場が飽和という踊り場を迎え、大手各社は今、市場の細分化による再成長を模索するようになってきている。
これまでのコンビニは、基本的に単一の店舗フォーマットを全国展開し、可能な限り過密な店舗網を構築することで、全体での売上を拡大するという戦略だった。しかし、そうした出店余地が乏しくなってくれば、これまでの収益構造では採算がとれなかった場所に出していくしかない。従来の想定では売上が十分に確保出来ないという場所でも、これまでには来てもらえなかった顧客に来店してもらうことが出来れば、想定売上を大きくすることが出来るかもしれない。
または店舗あたりの運営コストを引き下げることが出来れば、採算がとれるようになる。店舗の収益構造を多様化することによって、多様な出店適地が生み出される。出店余地を再び創り出すことが可能になれば、市場飽和は解消するのである。
コンビニがこれまで単一フォーマットで押し通してきたのは、それが最も効率的だったからにほかならない。全国どこでも同じような売場構成で、同じように年中無休24時間営業、統一された物流運営など、統一された店舗網運営が最も効率的であったため、コンビニ大手3社はシェア拡大最優先でこれまで成功してきた。
規模の利益を最大限享受することで、効率の劣る競合を打倒し、M&Aによってその縄張りを奪いながら成長したことで、大手3社の寡占化は、ほぼ達成されたのだが、同時に既存のビジネスモデルにおけるフロンティアは消失したのである。
大手3社が勝てない? 北海道最強「セイコーマート」
既存フォーマットを多様化し、新たなマーケットを作り出した成功事例として、北海道の地域コンビニ「セイコーマート」が挙げられる。そもそもコンビニ市場は、大手3社の全国展開が進み、今やほとんどの都道府県において大手3社のシェアが9割を超えており、北海道を除けば、最低でも8割を超える寡占状態となっている。しかし、北海道だけはセイコーマートが店舗数シェア約37%でトップを守っており、大手3社のシェアは6割ちょっとしかないのだ。
セブンイレブンがセイコーマートに肉薄しつつあるが、札幌、旭川、函館、帯広、釧路の主要5都市が半分以上を占めていて、主要都市以外ではセイコーマートにはまだまだ及ばない(図表2)。
なぜ、大手3社が店舗を増やせない北海道の過疎地でも、セイコーマートは十分生きていけるのだろうか。 【次ページ】大手3社と違いだらけ? セイコーマートの独自の店舗設計
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