• 会員限定
  • 2008/03/11 掲載

【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(6)「答え」はコンセプトにあり

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
「その企画のコンセプトは何ですか」という台詞をよく聞きます。わかったようでわからない、定義しづらい概念ですが、「1枚企画書」作成の鍵を握っているのがこのコンセプトです。今回は「1枚企画書」がかならず1枚で完結する理由を“コンセプト発想”という観点から説明してみます。企画書事例でもコンセプトを強調したものを取り上げ、最後のページでフォーマットをダウンロードできるようにしておきます(会員限定)。

執筆:竹島 愼一郎

なぜ企画にコンセプトが必要か

 前々回、企画とは、企画依頼者の「問い」に対して「答え」になるものを考え出すものだということと、企画書というのは問題解決の場であるということについてお話ししました。今回はその「答え」をどう提示すべきか、というのがテーマです。

 企画の「問い」というのは「こういうことについて企画してほしい」という依頼を指します。それに対して「こういうことも言えるかもしれないけど、こうかもしれない……」という提示の仕方はふつうしません。可能性としてはいろいろ考えられるかもしれませんが、「答え」とはそうした思考のプロセスを説明するものではなく、結論をズバリ言うというのが鉄則です

 「高い費用対効果」が「問い」だとしたら「エリアの絞り込み」、「効果的な広告宣伝」なら「メディアミックス」、「ターゲットの現状把握」だと「ブログマーケティング」というように、提示すべきことは簡潔明瞭に言い尽くすべきなのです。

 複雑な内容の企画書でもそうです。複雑であればあるほど「答え」はシンプルでストレートなものにしなくてはいけません。難しい内容だからといって硬い文章であれこれ説明したくなる気持ちもわかりますが、学術論文ならいざ知らず、企画書というのは内容がやさしければやさしいほどいいのです。

 それはなぜかというと、企画の依頼というのは通常差し迫った問題があって、それを何とかしてほしいという現状から発生するものだからです。藁をもつかみたい人に功徳のある言葉や能書きはいりません。ほしいのは「藁」の代わりとなる言葉です。

 ですから、企画を依頼した側の人にとっては「こういうものが返ってくるはず」という期待がまずあるはずで、企画書を差し出されたとき、そうした内容を真っ先に探すものです。「そうか。やっぱりエリアの絞り込みか」というように。

 ただ「エリアの絞り込み」だとそれはアイデアです。アイデアを提示しただけだと「『エリア絞り込み』ならとっくに考えていたよ」と言われても仕方がありません。実際そうです。では「問い」に対する「答え」はどのようなものにすればいいのでしょうか。それは、その企画に関するすべてを網羅していながら、ワンポイントで核心を突いている概念を提示するのです。

 大袈裟に言うと、そうした“世界観”がコンセプトです。

 コンセプトがやるべき仕事は、「人もボールも動くサッカー」(現在のサッカー日本代表のコンセプト)のように、いままでにない新鮮な響きで、それを聞いただけで「そうか。わかった」と思わせるわかりやすい魅力的な言葉で、人々の心をひとつの方向に向かわせるということです(コンセプトを策定する意義については、最後の「社内ルール化のための12のヒント」でまとめて説明します)。

 コンセプトがなく、「早めにプレスをかけろ」「ワンタッチプレーをしろ」「10秒以内にシュートにもっていけ」と言われただけだと、それはただの押しつけで、結局は「そうできないのは根性が座ってないからだ」ということになってしまいます(実際、そういう会社が多いのです)。それなら企画などいりません。


※クリックで拡大
図1:コンセプトを中心に据えた企画書
 コンセプトを中心に据えた企画書が右図のものです。こうした作り込みは見る人にとって見やすいだけでなく、作り手が何を一番に訴えたいかということを整理し、効果的な見せ方とはどのようなものかを構築して考えるのにも役立ちます。

 つまり「1枚企画書」というのはコンセプト発想の企画書なのです。「1枚企画書」では「1枚だからわかりやすい」とよく言われますが、正確に言うと「わかりやすいコンセプトを中心に据えて作成するから1枚で完結する」ということなのです。

 コンセプトを表す言葉を「コンセプトワード」といいます。これは単語や連語だけでなく、文章の形の「コンセプトフレーズ」になることもあります。「人もボールも動くサッカーで、世界をあっと驚かそう!」というのがそうで、それで目標が明確になり、練習や実戦での取り組み方も違ってくるはずです。

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

~P&G・マクドナルド・レノボ出身のFP&Aアドバイザーが語る~ 自社に合ったFP&Aの始め方

明日から取り掛かる、FP&Aの始め方 このような方におすすめ ・P&G/マクドナルド/レノボ出身のFP&Aプロフェッショナルによる事例解説に興味のある方 ・明日から取りかかれるFP&Aの始め方を知りたい方 ・グローバル基準のFP&Aを自社に合った方法で取り入れたい方 ・直近5年間で、日本企業においてもFP&Aや経営管理体制の構築の重要性についての理解が深まっています。 一方でその実行となると、「全社を巻き込むのが難しい」「どこから取り組めばよいか分からない」「取り組み事例を知りたい」といったお声を多く頂戴しており、ロールモデルに対するニーズが高まってるのが現状です。 そこで、今回はP&G・マクドナルド・レノボといったFP&A先進企業で日本子会社のCFO・FP&Aをつとめ、現在はFP&Aアドバイザーとして数多くの日本企業のFP&A実装に尽力されている池側氏をお招きし、事例をベースに「明日から何に取り組めばよいか」をご理解いただけるセミナーを開催いたします。 当日のテーマは以下です。 ・P&Gなど先進欧米グローバル企業のFP&Aとは ・FP&Aを実装している日本企業の事例 ・自社に合った形でFP&Aを始めるには 他社のFP&Aのお取り組みを知りたい方、FP&Aの高度化を推進したいマネージャー・経営層の方にぜひご参加いただけますと幸いです。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます