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  • 2025/03/29 掲載

パワハラを恐れない、部下へのフィードバックの3要素「EEC」とは

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フィードバックは「評価面接の場で行うもの」「部下に厳しく伝えるとパワハラになる」。このような誤解が、日本企業のマネジメントを停滞させている。このままでは組織どころか個人の成長も望めないだろう。では、フィードバックとは本来どうあるべきなのか。グッチグループやジョンソン・エンド・ジョンソンなど、外資系企業の人事に20年以上携わり、『世界標準のフィードバック 部下の「本気」を引き出す外資流マネジメントの教科書』を上梓した安田 雅彦氏が解説する。
執筆:We Are The People 代表取締役 安田 雅彦

We Are The People 代表取締役 安田 雅彦

1967年生。1989年に南山大学卒業後、西友にて人事採用・教育訓練を担当、子会社出向の後に同社を退社し、2001年よりグッチグループジャパン(現ケリングジャパン)にて人事企画・能力開発・事業部担当人事など人事部門全般を経験。2008年からはジョンソン・エンド・ジョンソンにてSenior HR Business Partnerを務め、組織人事や人事制度改訂・導入、Talent Managementのフレーム運用、M&Aなどをリードした。2013年にアストラゼネカへ転じた後に、2015年5月よりラッシュジャパンにてHead of People(人事統括 責任者・人事部長)を務める。2021年7月末日をもって同社を退社し、自ら起業したWe Are The Peopleでの事業に専念。 ソーシャル経済メディア「NewsPicks」ではプロピッカーとして活動。

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フィードバックに対する誤解と本来のあり方とは?
(Photo/Shutterstock.com)
※本記事は『世界標準のフィードバック 部下の「本気」を引き出す外資流マネジメントの教科書』を再構成したものです。

長年培われた“日本的”な習慣が生み出した「歪んだ認識」

 「フィードバック」という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

 多くの日本企業のマネジャーたちと話をしていると、フィードバックに対する根本的な誤解や不安を抱えていることに気づきます。それは、長年培われてきた日本的なマネジメントの習慣や、近年の「ハラスメント」への過度な警戒感が生み出した、歪んだ認識とも言えます。

■その1 フィードバック=評価という思い込み
 フィードバックとは、評価面接のときにだけ行うものではありません。日常的に習慣として行うべきものです。

 なぜこの評価になったのかを延々と説明するだけでは、中長期的視点から部下の育成を図ることは不可能です。
「会社はこの仕事で、あなたに高いコミュニケーション力で九州エリア全域をまとめてほしいと期待しているよ。今は中九州エリアはうまくいっているようだけれど、北九州は少し課題があるようだね」

「ブラッシュアップが必要だけど、今年度はもう少し数値的な分析を加えたいと考えているんだ」
など、強みと伸びしろを織り交ぜながら現状と期待を具体的に明示することが、フィードバックの基本です。

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なぜこの評価なのかを説明するだけでは、部下の育成は不可能だ
(Photo/Shutterstock.com)

パワハラを理由にするのは「逃げているだけ」?

■その2 フィードバック=パワハラという誤解
 マネジャーの抱える大きな不安のひとつが「フィードバックをパワハラだと言われたらどうしよう」ということだと思います。

「改善してほしいことがあるけれど、それを言って辞められたら怖い。仕事がまわらなくなったら大変だ」

 こうして、言葉を呑み込んでいる多くのマネジャーを目にします。

「自分が言うと角が立つから」
「自主性に任せたい」
「今は多様性の時代だから」

 このようなフレーズもよく聞かれます。

 しかし、そもそもきちんとしたフィードバックとは、決して部下を萎縮させたり不快な気分にさせたりすることを意図するようなものではなく、ましてや上司の溜飲を下げるようなものであってはなりません。

 そもそもパワーハラスメントとはどういう状態なのか、その定義をふり返ってみましょう。

 厚生労働省が定めるパワーハラスメントの定義とは、
  1. ① 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)
  2. ② 業務の適正な範囲を超えて
  3. ③ 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
とされています。

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パワハラの6類型
(出典:雇用環境・均等局「パワーハラスメントの定義について」(2018年10月)の表を一部改変)

 あなたが部下に対して行うフィードバックの場面を思い浮かべてください。相手の成長と改善を期待して、誠意と敬意をもって率直に言うことは、これらに当てはまるでしょうか。

 何かあればすぐに、やれパワハラだなんだと騒ぐことと、労務上パワハラだと認定される事例とは、まったく別の話だと理解できるはずです。

 ですが、日ごろのコミュニケーションの質に気を配ることもなく、口を開けば仕事の話しかしなかったり、注意・叱責ばかりだったりするのなら、フィードバックを「お荷物」や「お説教」だと思われても仕方ないでしょう。

 パワハラを理由にするのは、普段のコミュニケーション不足が招く自信のなさを昨今の風潮にすり替え、本来上司がやるべきことから逃げているだけではないでしょうか。 【次ページ】とっくに通用しなくなっていた「背中を見て学べ」
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