- 2025/05/02 掲載
イチロー氏のひと言で得た最短ルート。物事の「本質」を見抜く3つの実践例とは?(2/2)
用意していたプランを潔く破り捨てる勇気も必要
前項でお伝えしたエピソードとも重なりますが、仕事における本質のひとつに「相手本位」があります。自分の利益や都合だけを考える「自分本位」な姿勢は、そもそも仕事の本質から外れているため、誰かに喜ばれることが少なく、仕事の成果も出にくいもの。短期的には利益があったとしても、長期的にはマイナスになることがほとんどです。
一方で、相手やその場にいる人たち、あるいはお客様や社会の利益や都合を優先した場合、仕事はうまくいき、その仕事に関わるすべての人に利益がもたらされやすくなります。
なぜなら、「相手本位」こそが、仕事に通底する本質だからです。
以前、筆者は、ある雑誌のインタビュー記事を請け負っていました。
その記事では、取材相手の「知られざる魅力」を引き出すことがお約束となっていました。
ある回での取材相手は、全国区の知名度を誇るアナウンサーでした。
筆者は、編集部から「話し方の奥義」を聞き出すよう指示を受けました。
ところが、いざ取材をしてみると、話し方の話題がまったく盛り上がりません。
自身の話し方について言語化できないのか、具体的な話が何ひとつ出てきません。
一方で、ふとした瞬間に相手が語った「若かりしころのアメリカでの武者修行」のエピソードが、ものすごく魅力的でおもしろい内容でした。
饒舌に語るその目もキラキラ輝いています。
筆者は、この武者修行の間の精神の中に、この方のアナウンサーとしての魅力が詰まっていると感じ、それと同時に、雑誌の読者にとっても「ためになる内容」だと確信しました。
私は、インタビューの舵を大きく切り、アメリカでの武者修行の話を根掘り葉掘り聞き出しました。
結果、記事は大反響を呼び、私自身も編集部から高い評価を受けました。
もし、私が「編集部に言われたから……」という理由だけで「話し方の奥義」にこだわっていたなら、おそらくつまらない記事になっていたことでしょう。
筆者はもちろん、取材相手、読者、編集部……誰の利益にもならない(=誰も喜ばない)ものを、世の中に送り出してしまっていたかもしれないのです。
「話し方の奥義」を聞き出すという編集部からの指示は、「読者に喜ばれる記事を届ける」という本質に優先されるものではありません。
「読者に喜ばれない」と感じたのであれば、用意していたプランを潔く破り捨てる勇気も必要なのです。
これこそが、本質を捉えた仕事の仕方ではないでしょうか。
翻って、あなたの仕事における「相手本位」は、どのようなものでしょうか?
「相手本位」の中身を一度言語化しておくと、本質を外すことなく高い成果を出せるようになるでしょう。
イチロー氏のひと言が「本質理解」への最短ルートに
本質を読み解く上で注目したいものに「コツ」があります。コツをつかむことで、技術が一気に上達したり、物事がうまく回りだしたり、結果が出やすくなったり、それまでできなかったことが嘘のようにできるようになります。
それは、コツの中に重要な本質が含まれているからです。
「肩の力を抜こう」。仕事からスポーツ、日常生活まで、よく聞かれるアドバイスです。
しかし、そうアドバイスされて即肩の力を抜ける人はほとんどいないでしょう。
中には、意識しすぎて、肩がよりガチガチになってしまう人もいます。
あるとき、テレビで元メジャーリーガーのイチロー氏が「肩の力を抜きたいなら、膝の力を抜かないといけない」という話をしていました。
「そうか!」と思い、以降、肩に力が入る場面で膝の力を抜くようにしたところ、本当に肩の力を抜けるようになりました。
これは、イチロー氏が「からだはすべて連動している」という本質を把握し、大切にしてきたからこそできたアドバイスです。
読解という観点で言うなら、その道に精通している人や上手な人、得意な人に「コツを聞く」ことによって、物事の本質理解へと行き着きやすくなります。

最短距離で答えを得るためには、「〇〇がうまくいきません。どうすればいいですか?」と聞くよりも、「〇〇がうまくいきません。コツを教えてもらえませんか?」と単刀直入に聞くほうがいいでしょう。
なお、普段からあらゆる事象に対し、「これをうまく活かす(上達する・得意になる)コツは何だろう?」と考えるクセをつけましょう。
そもそも本質からズレたところにコツはありません。
コツへの意識を高めることは、本質への意識を高めることでもあります。
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