- 2025/05/02 掲載
イチロー氏のひと言で得た最短ルート。物事の「本質」を見抜く3つの実践例とは?
「本質」をつかむために見るべき3点とは?
「本質読解」「表層読解」「深層読解」という3つの読解の中でも、とりわけ重要なのが「本質読解」です。「本質」とは、「物事の『核』とも言える大事な部分で、そのものがどういうものかを根底から説明する要素のこと」です。
本質をつかめていなければ、表層的な情報に惑わされてしまう恐れがあります。
同様に、本質をつかめていなければ、せっかく深層を読み解いたとしても、それが〈真に何を意味するのか〉は結局わからずじまい、ということもあります。
本質は、良くも悪くも、その対象全体に影響を与えます。
人間のからだで言うなら、全身を流れる血液のようなものなのです。
きれいな血液の人は健康ですが、血液が汚れている人は心身に不調を来します。
つまり、からだ(対象)は、血液(本質)に支配されているのです。
本質を読み解く力を身につけることで、その対象に対する読解の解像度が高まるほか、その情報を有効活用できるようになります。
本質を分解したものが以下の3つの要素です。
- 普遍的(時代や場所を超えて、変わらない特性や価値があるもの)
- 汎用的(さまざまな用途に広く使えること)
- シンプル(ムダなところがなく簡素なさま)
一例として、「人間性」の本質について考えてみましょう。
人間性の定義にもよりますが、「学習能力があること」は、ひとつの本質と言えそうです。
人間の学習能力は、時代や場所を超えて、あらゆる状況において当てはまり、そしてシンプルです。
先ほどの1.~3.を満たしています。
もっとも、本質は「ひとつの対象に1個しかないもの」というわけでもありません。
人間に備わっている「意識」や「理性」「感情」「創造性」「想像力」「社会性」「適応力」「自己防衛本能」──なども人間性の本質と言えるものでしょう。
大事なのは、本質をつかむためには、それが普遍的で汎用性があってシンプルか、その3点を見ていくということです。
核心に迫ろうとする「問い」が、成果を生み出す
さて、ここからは、いよいよ本質を見抜くための実践に入ります。事例を通じて、本質の押さえ方や見抜き方を学んでいきましょう。
とりわけ仕事の場面では、本質を読み解く意識が欠かせません。
本質を理解していないと、コミュニケーションに齟齬が生まれ、ミスやトラブル、機会損失を起こしてしまうことなどもあります。
「◯◯というメーカーのランニングシューズはありますか?」靴店の店員さんが、お客さまからこのような質問を受けました。
以下は店員さんの対応例です。
対応1:「当店では、そのシューズは置いていません」1~3のうち、1と2は、本質への意識が薄い(ない)対応です。相手の言葉を額面通り受け取るだけで、その核心(=本質)に迫ろうとしていません。
対応2:「他店にあるかもしれません。在庫をお調べします」
対応3:「当店では、そのシューズは置いていません。ちなみに、どういう目的でお使いですか?」
お客さまの(そもそもの)ニーズに迫れていない、とも言えます。
一方、3は、本質への意識が高めの対応です。
もし3の質問を投げかけた際、相手が「出張先でウォーキングをしようと思っていまして」と答えた場合、次のような情報を伝えることができるかもしれません。
「それでしたら、ランニングシューズではなく、ウォーキング専用シューズのほうがいいかもしれません。当店にご用意がございます。
もし出張先で観光もしたいということであれば、足首に優しい旅用のスニーカーもあります。こちらは観光とウォーキング、どちらにもお使いいただけるタイプです」
3の対応が優れているのは、そもそもの目的(=靴を買う目的)を聞く質問を含んでいるからです。
お客さまのニーズに光を当てることによって機会損失を防ぎ、なおかつ、お客さまにも喜ばれる提案をすることに成功しています。
「なぜ、そのシューズを求めているのか?」「そもそも、どんな目的で使うのか?」という本質志向な問いが、〈成果を生み出すお客様対応〉の土台になっているのです。 【次ページ】イチロー氏のひと言が「本質理解」への最短ルートに
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