• 2025/05/02 掲載

イチロー氏のひと言で得た最短ルート。物事の「本質」を見抜く3つの実践例とは?

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本質とは、そのものを根底から規定する「核」であり、普遍性・汎用性・シンプルさを備えたものだ。だが、本質をつかめなければ、表層的な情報に振り回され、深掘りしたはずの内容ですら意味を見失ってしまうこともある。『読解力は最強の知性である 1%の本質を一瞬でつかむ技術』を上梓した、伝える力研究所所長で山口拓朗ライティングサロン主宰の山口拓朗氏が、過去の取材やイチロー氏の発言などから、「本質」を見抜く実践方法を紹介する。
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「肩の力を抜きたいなら…」イチロー氏のアドバイスに潜む“本質”とは?
(Photo:Keeton Gale / Shutterstock.com)

「本質」をつかむために見るべき3点とは?

 「本質読解」「表層読解」「深層読解」という3つの読解の中でも、とりわけ重要なのが「本質読解」です。

 「本質」とは、「物事の『核』とも言える大事な部分で、そのものがどういうものかを根底から説明する要素のこと」です。

 本質をつかめていなければ、表層的な情報に惑わされてしまう恐れがあります。

 同様に、本質をつかめていなければ、せっかく深層を読み解いたとしても、それが〈真に何を意味するのか〉は結局わからずじまい、ということもあります。

 本質は、良くも悪くも、その対象全体に影響を与えます。

 人間のからだで言うなら、全身を流れる血液のようなものなのです。

 きれいな血液の人は健康ですが、血液が汚れている人は心身に不調を来します。

 つまり、からだ(対象)は、血液(本質)に支配されているのです。

 本質を読み解く力を身につけることで、その対象に対する読解の解像度が高まるほか、その情報を有効活用できるようになります。

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本質を読み解ければ、解像度が高まり、情報を有効活用できる
(Photo/Shutterstock.com)

 本質を分解したものが以下の3つの要素です。

  • 普遍的(時代や場所を超えて、変わらない特性や価値があるもの)
  • 汎用的(さまざまな用途に広く使えること)
  • シンプル(ムダなところがなく簡素なさま)

 一例として、「人間性」の本質について考えてみましょう。

 人間性の定義にもよりますが、「学習能力があること」は、ひとつの本質と言えそうです。

 人間の学習能力は、時代や場所を超えて、あらゆる状況において当てはまり、そしてシンプルです。

 先ほどの1.~3.を満たしています。

 もっとも、本質は「ひとつの対象に1個しかないもの」というわけでもありません。

 人間に備わっている「意識」や「理性」「感情」「創造性」「想像力」「社会性」「適応力」「自己防衛本能」──なども人間性の本質と言えるものでしょう。

 大事なのは、本質をつかむためには、それが普遍的で汎用性があってシンプルか、その3点を見ていくということです。

核心に迫ろうとする「問い」が、成果を生み出す

 さて、ここからは、いよいよ本質を見抜くための実践に入ります。

 事例を通じて、本質の押さえ方や見抜き方を学んでいきましょう。

 とりわけ仕事の場面では、本質を読み解く意識が欠かせません。

 本質を理解していないと、コミュニケーションに齟齬が生まれ、ミスやトラブル、機会損失を起こしてしまうことなどもあります。

「◯◯というメーカーのランニングシューズはありますか?」
 靴店の店員さんが、お客さまからこのような質問を受けました。

 以下は店員さんの対応例です。
対応1:「当店では、そのシューズは置いていません」
対応2:「他店にあるかもしれません。在庫をお調べします」
対応3:「当店では、そのシューズは置いていません。ちなみに、どういう目的でお使いですか?」
 1~3のうち、1と2は、本質への意識が薄い(ない)対応です。相手の言葉を額面通り受け取るだけで、その核心(=本質)に迫ろうとしていません。

 お客さまの(そもそもの)ニーズに迫れていない、とも言えます。

 一方、3は、本質への意識が高めの対応です。

 もし3の質問を投げかけた際、相手が「出張先でウォーキングをしようと思っていまして」と答えた場合、次のような情報を伝えることができるかもしれません。

「それでしたら、ランニングシューズではなく、ウォーキング専用シューズのほうがいいかもしれません。当店にご用意がございます。

 もし出張先で観光もしたいということであれば、足首に優しい旅用のスニーカーもあります。こちらは観光とウォーキング、どちらにもお使いいただけるタイプです」

3の対応が優れているのは、そもそもの目的(=靴を買う目的)を聞く質問を含んでいるからです。

 お客さまのニーズに光を当てることによって機会損失を防ぎ、なおかつ、お客さまにも喜ばれる提案をすることに成功しています。

 「なぜ、そのシューズを求めているのか?」「そもそも、どんな目的で使うのか?」という本質志向な問いが、〈成果を生み出すお客様対応〉の土台になっているのです。 【次ページ】イチロー氏のひと言が「本質理解」への最短ルートに
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