- 2025/06/18 掲載
Z世代はもう「人」に相談しない──9,650億円市場に膨らむ「AI精神医療」の“光と影”
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

米国成人の23%に精神的問題、しかし半数は“治療なし”
米調査会社ビジネスリサーチ・カンパニーの推計によれば、世界のAI精神医療市場は2025年に20億ドル(約2,880億円)を突破し、年平均成長率34.9%で拡大を続け、2029年には67億ドル(約9,650億円)近くに達する見通しだ。この急成長の背景には、各国に共通する深刻な課題──すなわち、心理療法士や精神科医などといった行動保健専門職の不足──がある。
米保健医療労働局が2024年11月に発表した研究によれば、2023年地点で米国の成人約5900万人、すなわち全体の23%が何らかの精神的問題を抱えていたが、そのうち半数近くの46%が適切な治療を受けられていない状況にあった。
その主な理由は、(1)専門人材の不足、(2)高額な治療費、(3)医療保険でカバーされない治療領域の多さ、さらに(4)地方部における人材偏在が挙げられる。
こうした複雑な課題を抱える精神医療の現場において、Z世代を中心とした若年層の間では、AIとの対話によって心理的サポートを得ようとする動きが広がっている。

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