• 2025/07/16 掲載

サンリオが「日本の希望」と言えるワケ……“赤字部門”を大復活させた「あの戦略」

連載:テーマパーク経済学

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「Kawaii」カルチャーの本拠地、サンリオが絶好調である。成長をけん引しているのは、同社が経営するテーマパーク「サンリオピューロランド」だ。Z世代や訪日観光客の心をつかみ、2025年3月期には過去最高収益を更新。かつて“赤字のお荷物”とまで言われた施設が、なぜここまで成長できたのか──その裏には、「あのターゲット層」を“徹底的に満足”させるマーケティング戦略があった。
執筆:都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家 谷頭 和希

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家 谷頭 和希

1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。テーマパークやチェーンストア、都市についての原稿を主に執筆。著書に『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)がある。

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“赤字部門”を大復活させた「あの戦略」とは?
(Photo/Shutterstock.com)

“赤字のお荷物”から「収益のエース」へ急成長

 サンリオの2025年3月期連結決算を見てみると、売上高は前期比44.9%増の1,449億円、営業利益は92.2%増の518億円、純利益は137%増の417億円と、いずれも過去最高を更新している。

 これを支えているのが、かつて“赤字のお荷物”とまで言われたピューロランドだ。

 ピューロランドの盛り上がりは、現地に行けば一目瞭然。最寄りの多摩センター駅(京王線・小田急線・多摩モノレール)では、平日にもかかわらずサンリオグッズを身にまとった若い女性や訪日観光客の姿が目立つ。パークに近づくほどその数は増し、人々が吸い寄せられるようにピューロランドへと向かっていく様子は、まさに“サンリオ現象”と呼ぶにふさわしい。

 1990年の開業当初は好調だったピューロランド。しかし、バブル崩壊とともにレジャーブームが失速、その後もさまざまな施策を打つものの客足は遠のき、「赤字部門」「お荷物」とまで言われる存在に転落していった。

 この苦境の中で、サンリオは“最後の一手”に打って出た。

 再建のミッションを託されたのが、同社100%子会社サンリオエンターテイメントの現社長・小巻 亜矢氏だ。小巻氏は著書『サンリオピューロランドの人づくり』の中でこう語っている。

「真っ先に手掛けたのは、『メインターゲットを変える』ことでした」

 そう、ピューロランド復活の決定打となったのは、驚くほど明確に定められた「ターゲット戦略」だった。

 誰に、どんな体験を届けるのか。その問いに明確な答えを出し、ぶれることなく突き進んだからこそ、ファンの共感を呼び、今の熱狂を生んでいる。

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サンリオ vs. 世界の強キャラ
勝ったのはどっち?
【次ページ】ピューロランドが“全振り”した「あのターゲット層」
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