• 2025/09/03 掲載

競合と戦うのは「時代遅れの愚か者」…リクルートでの挫折から学んだ新時代の戦略

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「一体、何のために戦っているんだろう?」競合他社との激しい消耗戦に疲れ切った元リクルート営業が辿り着いたのは、「戦わずして勝つ」マーケティング戦略だった。JAの採用広告で実証されたその手法は、WEBマーケティングの発展により今や誰でも活用できる技術となっている。現代のビジネスパーソンが知るべき、新時代の売り方とは何か?『戦わずして売る技術 クリック1つで市場を生み出す最強のWEBマーケティング術』を上梓した、北の達人コーポレーション 代表取締役社長の木下勝寿氏が、実体験をもとに解説する。
執筆:北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下 勝寿

北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下 勝寿

神戸生まれ。大学在学中に学生企業を経験し、卒業後はリクルートで勤務。2002年、eコマース企業「北の達人コーポレーション」設立。独自のWEBマーケティングと管理会計による経営手法で東証プライム上場を成し遂げ、一代で時価総額1,000億円企業に。フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」を4度受賞。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」1位。日本国より紺綬褒章8回受章。著書にベストセラーとなっている『売上最小化、利益最大化の法則』『時間最短化、成果最大化の法則』『チームX』『「悩まない人」の考え方』(以上ダイヤモンド社)、『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』(実業之日本社)がある。

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「本当に戦う必要があるのか?」その答えは新時代のマーケティング戦略にある
(Photo/Shutterstock.com)

競合他社との戦い、実は無意味なのでは…?

 「マーケティング戦略」という言葉を聞くとどんなことを思い浮かべるだろう。

 「競合他社を出し抜く方法」「競合他社を打ち負かす方法」──そんな「競争に勝つための方法」が頭に浮かぶかもしれない。たしかにそういう考え方もあるだろう。

 しかし、私の考える戦略の本質は異なる。「戦略」とは本来文字通り「戦いを略すこと」である。本当の戦略とは「戦わずして勝つための仕組み」を作ることなのだ。そしてそのための最も強力なツールがマーケティングなのだ。つまり、私にとってマーケティングは、競合と戦うための武器ではなく、戦いそのものをなくすための道具なのだ。

 私がマーケティングに興味を持ったのは、高校生の頃だった。当時はただ「面白いものを作って、世の中に広めたい」という単純な思いがあった。しかし、ビジネスの世界に入り、色々なことを理解していくうちに次第に違和感を抱くようになった。

 世間の企業戦略は、「顧客」よりも「競合」ばかりを見ている。

 果たしてそれは、本当に社会の役に立っているんだろうか?──そう感じ始めたのだ。

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「顧客」よりも「競合」ばかり見ている企業戦略は、本当に社会の役に立っているのか
【詳細はこちら】

(Photo/Shutterstock.com)

 その後、リクルートで求人広告の営業をしていたとき、その思いはさらに強くなった。新規クライアントを開拓し、掲載してもらった求人広告を通じて良い人材に入社してもらったときは、クライアント企業の成長や求職者の人生に貢献できた喜びがあった。しかし、景気の悪化とともに競争は激化し、仕事の多くは、既存クライアントをめぐる競合との奪い合いになっていった。

 そこで気づいた。今の自分の仕事のやり方では、クライアントや求職者にとって、どの媒体に掲載されても、応募しても、結果はほとんど変わらない。自社が受注しても、競合が受注しても、世の中を循環するお金の総量は変わらず、GDPの向上という日本の経済発展にも何ら影響はない。つまり、自分たちの競争は、社会全体にとって無意味なのではないかと。
「一体、何のために戦っているんだろう?」
 その疑問は日に日に大きくなっていった。気づけば、自分の仕事を、まるで意味のない作業を延々と繰り返して精神をすり減らす、ある種の拷問のようなものに感じていた。

 そして、私はある結論にたどり着いた。
「競合と戦っても、世の中に対する影響は変わらない。ならば、戦わずに勝つ方法を探そう」
 それが、私がマーケティングに深く興味を持った理由だ。

 マーケティングは、競争を避け、顧客にとって本当に価値あるものを提供するための道具である。競合との無意味な戦いをやめ、売れ続ける新たな市場を作る──それが、私の考えるマーケティングの本質だ。

 あなたも、競争に疲れているなら、一度立ち止まって考えてみてほしい。
「本当に戦う必要があるのか?」
 その答えは、きっとマーケティングの中にある。 【次ページ】採用広告のコンセプトを根本から変更したら…驚きの変化が
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