- 2025/11/09 掲載
なぜiPhoneが欲しくなるのか? Appleが仕掛ける「欲望」を操る心理テクニック
大学卒業後、地元の信用金庫に入庫し、約13年間にわたり資産運用や中小企業の経営相談に従事。平成28年度には営業成績No.1を獲得。その後、船外機メーカーの中小企業へ転職し、経理担当として資金繰りやキャッシュフロー管理を3年間経験。金融機関と実務現場のギャップに直面しながらも、資金繰りの実務を習得。これを機に「中小企業の力になりたい」と独立。しかし起業当初は集客に苦戦し、スキルや経験だけでは成功できない現実を痛感。試行錯誤の末に自分だけのビジネスモデルを確立し、起業1年目で大手メディアにも紹介され、「正解は人それぞれ異なる」と学ぶ。現在は金融機関・メーカー経理・起業のすべての経験を活かして、それぞれの強みを引き出し、「売らなくても自然に選ばれる」ビジネスを形にする支援を行っている。本書が初の著作となる。インスタグラム @yu.komatsubara_0506
前編はこちら(この記事は中編です)
アクセルとブレーキを同時に踏んで、前に進めるはずがない
「陽・陰・潜在」という3つの層にある別々の望み。これらがそれぞれ相反する方向を向き、心の中で激しくぶつかり合っている状態こそが「葛藤」の正体です。この状態こそが、お客さまが行動を起こせない最大の理由であり、同時に、行動を起こす最も強力なエネルギー源にもなり得るのです。
たとえば、私が日々接している、多くの誠実な起業家の方々が抱える典型的な葛藤は、このようなものです。
頭では「ビジネスで成果を上げ、売上を伸ばさなければ家族を養えない」と分かっている(陽)。
でも、心は「お客さまに売り込みをして、嫌われたくない。断られるのが怖い」と叫んでいる(陰)。
魂では「本当は仕事に追われることなく、家族との穏やかな時間を大切にしながら、自分らしく豊かな人生を送りたい。そして、自分の存在意義を、この社会で確かに感じたい」と願っている(潜在)。
この、頭と心と魂が、三者三様に別の方向を向いて、激しい綱引きをしている状態。
これでは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもので、前に進めるはずがありません。
このような葛藤を抱える人に対し、単に「稼げますよ!」「最新のノウハウで売上を伸ばしましょう!」と、表面的な「陽」の望みだけを訴求しても、それは決して深くは刺さりません。
なぜなら、彼らの心の奥底にある「売り込みたくない」という「陰」の感情や、「家族との時間を大切にしたい」という「潜在」的な望みが、まったく満たされていないからです。
彼らは「稼ぎたいけれど、そのためには、自分の心を殺して、嫌なことをしなければならない」という、痛みを伴うジレンマに苦しんでいるのです。
けれど、もしあなたが、「売り込みという苦しい作業を一切せずに、自然とお客さまに選ばれ、結果的に自分の時間も豊かに増える。そんな新しい働き方があるんですよ」と伝えたとしたら、どうなるでしょうか。
このメッセージは、「陽・陰・潜在」の三層すべての感情に、同時に響き渡ります。
それは、彼らを縛り付けていた、それぞれの葛藤を一気に解放する、強力な力となり、お客さまは心の中でこう叫ぶでしょう。
「まさに、私が心の底から求めていたのは、これだ!」
「これなら、自分の心を犠牲にしなくても、私が本当に望む理想の未来が手に入るかもしれない」
そう感じたとき、人は深く強く共感し、自らの意思で行動へと駆り立てられるのです。
【次ページ】AppleのiPhoneやMacBook Proも…マーケティング3.0の成功事例
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