• 2025/10/03 掲載

マジで深刻な「部活限界」地域…救済に挑む「BリーグのAI活用」、想像以上の成果とは(2/3)

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格差解消の切り札「AIスマートコーチ」の正体

 AIスマートコーチは、ソフトバンクが提供するスポーツ向けAIコーチングアプリ。「動画で学ぶ、撮って比較する、記録する」を通して、子どもたちのスポーツのスキル向上と主体的な学びを支える。現在は17種目の競技や体育に対応しており、スマートフォンやタブレット、パソコンから誰でも無料で利用できる。


 バスケットボール版は、日本バスケットボール協会(JBA)の監修の下で開発された。その特徴について、佐野氏は次のように説明する。

「最大の特徴は、シュートやドリブルなどの自分のフォームを撮影し、“お手本”と比較できることです。映像からフォームの骨格を自動解析し、お手本とどの程度一致しているかを数値化します。これを使えば、修正すべき点が一目で分かります」(佐野氏)


 さらに、お手本動画や練習メニュー動画の提供、練習記録や目標設定、指導者向けの練習メニュー作成機能も搭載している。これにより選手と指導者双方に、改善点を明確にしながら効果的な練習を進められる環境を提供する。

 Bリーグではソフトバンクと連携し、AIスマートコーチを活用した地域格差解消の取り組みを進めている。地方や離島でAIスマートコーチを活用した事例が増えており、すでにさまざまな変化が生まれ始めている。

「15年ぶり地区優勝」など特大成果も

 その代表例が、Bリーグ所属クラブの長崎ヴェルカと共同で行った「B-RAVE ONE Remote Coaching(ビーレイブワン・リモート・コーチング)」だ。

 長崎県の離島の中学校で、AIスマートコーチによるトレーニングと選手のオンライン指導を組み合わせたプログラムを実施。地域クラブの指導者やスクールコーチと設計した練習メニューを基にお手本動画を作成し、シュートやパスのフォームをAIで解析して比較できるようにした。

 さらに練習に明確な目標を持たせるため、オールスターやクラブの試合に合わせて成果発表の場を設定。指導者と子どもたちの信頼関係を築くため、定期的なオフライン指導も行い、フィードバックを重ねた。

 この取り組みにより、1人ひとりに合った練習が可能になり、練習の質の向上とモチベーションアップに寄与。こうした事例は各地で広がりを見せ、中には目に見える成果も出始めている。

「沖縄県のある学校では15年ぶりの地区優勝を果たし、さらに県大会で初のベスト4進出という成績を収めました。茨城県の学校でも創部以来で初めて、公式戦で勝利を挙げるなど、これまで越えられなかった壁を突破する成果が生まれています」(佐野氏)

 加えて、副次的な効果もあったと佐野氏は語る。

「AIスマートコーチを使ってお互いのフォームを指摘し合うなど、子ども同士の会話が増えました」(佐野氏)

 AIスマートコーチは、単なる技術導入にとどまらず、地域のバスケットボール環境そのものを変革しつつある。 【次ページ】生成AI活用も、成功させる「文化醸成」の秘密
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