• 2025/10/03 掲載

マジで深刻な「部活限界」地域…救済に挑む「BリーグのAI活用」、想像以上の成果とは

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日本プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」ではAIを活用して、指導者不足やスポーツ機会の格差といった地域課題の解決に取り組んでいる。代表例がスマートフォン用アプリ「AIスマートコーチ」を活用した施策だ。場所や時間を問わず、選手自らが教えるなど、質の高い指導が可能。地方や離島をはじめとした「部活限界地域」の子どもたちにも学びの機会を広げている。そこで本稿では、BリーグによるAI活用と地域創生の取り組みについて、Bリーグ 専務理事の佐野 正昭氏に話を聞いた。
構成:編集部 井内 亨   執筆:ライター(元技術系公務員) 和地 慎太郎(わち・しんたろう)

ライター(元技術系公務員) 和地 慎太郎(わち・しんたろう)

東北大学大学院応用化学修了後、大手製造業で電子材料などの製造開発に従事。その後、地方公務員の化学技術職として、製造業者など多数の企業に対し、廃棄物処理など環境分野での施策を実施。ビジネス系webメディアや製造業者のwebサイトなどで主に取材・執筆を行う。新著に『ビジネス教養として知っておくべきカーボンニュートラル』(ソシム)がある。

  撮影:大参 久人
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BリーグはどのようなAI活用を進めているのか

増え続ける「部活限界地域」という大問題

 Bリーグは2050年に向け、「感動立国」というビジョンを掲げている。この言葉には、バスケットボールを通じて人々に感動や興奮、熱狂を届け、それを地域社会全体の活力へとつなげていきたいという思いが込められている。リーグの持続的な発展は、クラブ単体の成長にとどまらず、地域創生と密接に結びつく。佐野氏は次のように語る。

「地域創生なくしてクラブの持続的な成長はできません。同様にクラブの成長がなければリーグの発展もなく、ひいてはバスケ界の繁栄もありません」(佐野氏)

 地域課題の解決に貢献することで、地域から応援されるようになり、将来的に観客動員数の増加やスポンサー企業の拡大にもつながる。こうした活動はCSR(企業の社会的責任)にとどまらず、地域やパートナー企業と価値を共創するCSV(共通価値の創造)の考え方に基づく。

 この理念を具体化したのが、2016年の開幕と同時に始動した社会貢献プログラム「B.LEAGUE HOPE」(Bホープ)だ。Bホープは、障がいや貧困などに向き合う子ども・家族を支援する「PEOPLE」、被災地の復興支援を行う「PEACE」、資源循環を通じた地球環境保全に取り組む「PLANET」の3つの領域で構成される。

 特に「PEOPLE」の領域では、子どもたちのスポーツにおける「機会格差」の解消を重要テーマに掲げる。

「地域によっては、スポーツに触れる機会が限られてしまうことがあります。また、経済的な事情から試合観戦ができない子どももいます。こうした格差を少しでも埋め、子どもたちが夢を持ち続けられる環境づくりを模索しています」(佐野氏)

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【詳細はこちら】Bリーグ 専務理事 佐野 正昭氏

 事実、少子化や人口減少による「部活限界地域」の増加が問題視されている。特に地方や離島では、専門的な指導を行える人材が不足し、部活動やクラブチームの活動が制限されるケースも少なくない。Bリーグはこうした地域格差を是正するため、AIスマートコーチを活用し、場所や時間の制約を超えてより良い指導を受けられる環境づくりを目指している。

「指導機会に恵まれない子どもたちにも、AIスマートコーチを通じて学びの場を提供したいと考えています」(佐野氏) 【次ページ】格差解消の切り札「AIスマートコーチ」の正体
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