- 2026/03/24 掲載
なぜ富士急にすみっコぐらし?「絶叫の聖地」が25億円で“カワイイ”を買ったワケ
連載:テーマパーク経済学
1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。テーマパークやチェーンストア、都市についての原稿を主に執筆。著書に『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)がある。
「絶叫の聖地」に“癒し系キャラ”がやってくる
新エリア「サンエックス パラダイス」は2026年の夏に開業予定だ。投資額は約25億円、面積は約6500平方メートルである。サンエックスがテーマパーク事業に本格参入するのは、これが初めてとなる。
詳細はまだ明らかになっていないが、リラックマなどのアトラクションのほか、サンエックスの「世界観」を体験できる景観設計やイベントなどが予定されている。
全体として、「カワイイ」「リラックス」などの要素を強く訴求していくのだろう。
“独自の世界観”築く富士急が抱えていた「弱点」
富士急のコアは長らく「絶叫」だった。名物のジェットコースター「FUJIYAMA」は、高さ・落差・巻き上げ長・最高速度などで開業当時、世界一を記録している。ほかにも、「ええじゃないか」は総回転数14回転が世界記録に認定されている。園全体としても、日本最多である14の世界記録を保持したこともある。いわば「絶叫の世界観」が、富士急の看板だったといってよい。
ただし、絶叫が強い施設ほど、弱点もある。経験した方も多いと思うが、絶叫系が苦手だとどうにも行きづらいのである。刺さる人にとっては最高だが、グループ来園の現場では「乗る/乗らない」が割れやすく、「楽しめない層」が生まれる。いわば「非絶叫層」だ。たとえば、小さい子どものいるファミリー層などだろう。
今回のサンエックスエリアは、こうした層でもパークを楽しめるような狙いが透けて見える。実際、サンエックスのプレスリリースでは「『サンエックスユニバース』の世界観を常設で楽しめる拠点を実現し、幅広い世代がそれぞれのスタイルで楽しめる“新しい体験型パーク”としてお客様へ提供いたします」としている。
もっとも、これだけではまだ十分に説明しきれない。たしかにサンエックスエリアは、これまで十分に富士急ハイランドを楽しめなかった、絶叫系が苦手な層に向けた「新しい入口」になるだろう。
だが、富士急の狙いはそれだけではない。今回の計画には、非絶叫層・サンエックスファンの取り込みとは別の、もう1つの明確な狙いがある。富士急がこれまで以上に強く意識している“あるピース”の存在だ。 【次ページ】富士急がどうしても欲しい、“あるピース”とは
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