• 2026/04/09 掲載

「SaaSの死」「ECの死」…次に消えるのは“邪魔な広告”? AIが壊すネットの常識

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生成AIは、仕事を助けるツールだけではなくなった。商品探しや比較、購入の意思決定など日常生活でもAIを活用する人は増え、たとえばLINEヤフーの「Yahoo!ショッピング」では、検索起点の買い物から“提案される買い物”への転換を打ち出している。消費者が「検索する」のではなく「AIに相談する」ようになれば、企業の接点設計や広告の前提も変わる。AIによる「SaaSの死」「ECの死」といった議論が広がる中、次に揺らぐのは、私たちの日常に近い仕組みかもしれない。AI時代に何が終わり、何が残るのか。その変化を考えたい。
執筆:桜美林大学准教授/コンサルタント 西山 守

桜美林大学准教授/コンサルタント 西山 守

大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書は『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社:共著)など。

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SaaS、ECの次は「広告の死」だ──AIが導く“ネット激変”のシナリオとは
(出典:LINEヤフー公式

AIで変わる消費行動、日本だけが乗り遅れた領域

 AIが急速に進化すると同時に、さまざまな分野での活用が進んでいる。少し先の未来さえも予測するのが難しい現代ではあるが、ほぼ確実にこれから重要になっていくであろう領域がある。

 それは、「AIを日常的に使うAIネイティブの消費者に、有効にアプローチする手法を開発すること」である。実際、電通や博報堂などの大手広告会社では、すでにこうしたプロジェクトに着手している。

 博報堂のメディア環境研究所が東京、上海、ロサンゼルス、ロンドンの4都市で行った「グローバルメディアテック調査 2025」によると、生成AI利用経験率は、東京が最も低い。

 さらに、東京では、生成AIの利用シーンとして「勉強・学習」「オフィスワーク」が上位を占めているが、上海では「趣味・娯楽」「投資やお金の管理」「買い物」が、ロサンゼルスでは「趣味・娯楽」「AIと対話」「買い物」といった項目も上位に上がってきている。つまり、上海・ロサンゼルスでは、プライベートでの生成AI利用が進んでいるということだ。

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【画像付き記事全文はこちら】
生成AIは仕事や学習を支援するツールにとどまらず、上海やロサンゼルスでは消費行動や日常の楽しみにも広がっている
(出典:博報堂DY

ウォルマートもLINEヤフーも参入、ECの地殻変動と余波

 後れをとりながらも日本でも、消費行動で生成AIを活用する動きが急速に進みつつあるように見える。デジタルマーケティングサービスを提供するブレインパッドが2025年9月に行った調査では、日本の消費者は商品を比較検討したり、商品の候補を探したりするために生成AIを活用していることが明らかになっている。

 企業側の対応も始まっている。米国では、小売の大手ウォルマートや、ホームセンター大手のホーム・デポが、顧客にAIエージェントのサービスを提供して、顧客の買い物を支援している。

 日本においても、LINEヤフーが同社のECサイト「Yahoo!ショッピング」に、生成AIエージェントを活用した買い物をサポートするサービスを実装することを発表している。

 これは新しい買い物支援機能の登場にとどまらない。消費者がAIに相談して商品を選ぶ時代になれば、ECだけでなく、検索や比較、広告といった周辺で成り立ってきた古いビジネスモデルもまた、見直しを迫られることになる。

「SaaSの死」「ECの死」、次に“消える”ビジネスは…

 AIエージェントの普及に伴い「ECの死」が起こると言われはじめている。生成AIが最適な購買体験を提案するようになると、消費者が自ら検索・比較して商品を選び購入することを前提としたECサイトのビジネスモデルが崩壊していくと言うのだ。

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インターネット広告は広告市場の中核を占める一方、そのあり方は生成AIの普及で再編を迫られる可能性がある
(出典:電通
 ECビジネスそのものが衰退するということではなく、生成AIの浸透によってECの検索、レコメンドといった機能が不要になっていき、ECサービスのあり様が大きく変わっていく──という見方をするほうがより正確だろう。

 筆者は、「ECの死」と平行して、「インターネット広告の死」が起こると考えている。電通が発表した「日本の広告費2025」によると、日本のインターネット広告費は前年比110.8%で、初の4兆円を突破し、総広告費の50.2%を占めるに至っている。

 一見すると絶好調に見えるのだが、消費者、あるいは広告を出稿する大手の企業の不満が噴出してきているのもまた事実だ。 【次ページ】嫌われすぎた広告、インターネット進化の代償
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