- 2026/04/24 掲載
新入社員の「情報漏えい炎上」はなぜ起きる?“若者叩き”では見えない「企業の盲点」
大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書は『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社:共著)など。
新入社員の情報漏えいが相次いだ2026年春
毎年この時期になると、多くの企業が新入社員を迎え、華やかな雰囲気が漂う。その一方で、「新人がやらかした」、「最近の若者は…」といった、頭を抱えるような問題も起こってくる。時代の変化が激しく、情報・メディア環境が激変する中で、今では数歳の差でも「ジェネレーションギャップ」を感じてしまうことも多くなっている。
今年は、新入社員による社内情報の流出が世の中をにぎわせた。最も話題になったのが、番組制作会社の新入社員と思しきアカウントが日テレ入館証や、日本テレビ系の朝番組「ZIP!」のシフト表とみられる画像をInstagramに投稿した件だ。
また、三菱電機住環境システムズでは、新卒入社した社員が社員番号、所属部署、本人の名前の入った社内書類の写真をInstagramに投稿して問題となった。
しかも、こうした事案は民間企業に限らない。川崎市でも、新規採用職員による研修資料のSNS流出が問題化した。定例の市長会見でもこの件は質疑項目となっており、行政組織においても、採用直後の職員に対する情報管理教育やSNS時代に即した注意喚起が追いついていない現実が浮き彫りになっている。
一連の事案を受けて、“情報漏えいRTA”というワードがSNS上で飛び交うに至っている。ちなみに、“RTA”は「リアルタイムアタック」の略で、もともとはゲームをクリアするまでの実時間を意味する言葉だ。今回の場合は、情報漏えいで早々に「ゲームオーバー」、すなわち、キャリアが終了してしまうといった意味で使用されている。
こうした問題が起きると、若者のSNSリテラシーの問題や、社員教育の不備が指摘されるのだが、それだけでは片づけられない、さまざまな社会要因が背景にある。
結論から言えば、「今の若者はネットリテラシーが低いから漏えいする」という見立ては誤りだと言えるだろう。
ではなぜ、普段は自衛を徹底している若者たちが“会社関係で”不用意な投稿をしてしまうのか。
バイトテロ→情報漏えいへ変化?若者だけの問題ではないワケ
筆者は、企業のSNSリスクが本格的に意識され始めた時期から、この問題を実務の現場で見てきた。前職の広告会社では2012年に社員向けSNSガイドラインの作成に携わり、その後の数年間も取引先企業のガイドライン策の支援を行ってきた。そうした立場から振り返ると、昨今注目されている新入社員の情報漏えいは、決して突然現れた新しい問題ではない。日本でTwitter(現X)やFacebookが急速に普及した2012年ごろから、企業の情報漏えいや炎上は頻発していたし、翌2013年ごろには、アルバイト店員による不適切投稿、いわゆる「バイトテロ」も社会問題化した。
つまり、今起きていることは、10年以上前から続いてきたSNSリスクが、別の形で表面化していると見るべきだろう。筆者自身もこれまで、若手社員が非公開情報や会社への不満、悪口をSNSに投稿して問題化したケースを何度も目にしてきた。
ただし、当時と比べると、だいぶ状況が変わってきているのも事実だ。当時は、個人のSNSアカウントに関しては「業務時間中に投稿しない」、「業務に関する投稿はしない」というのが一般的なルールだった。
その後、経営者やカリスマ社員が自らインフルエンサーとなってSNSで情報発信する動きが出てきた。社員や職員のSNS投稿に関しても、「厳しすぎる会社だと思われたくない」、「会社の宣伝になるなら認めても良いか」といった風潮が強まり、ルールが緩和されていく傾向があった。 【次ページ】Z世代はむしろ優秀…それでも情報漏えいが起きる“3つのズレ”
コンテンツ・エンタメ・文化芸能・スポーツのおすすめコンテンツ
コンテンツ・エンタメ・文化芸能・スポーツの関連コンテンツ
PR
PR
PR