• 2026/04/01 掲載

【4月施行】「労働安全衛生法」何が変わる? 個人事業者も対象に、企業対応を総整理(2/2)

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対象は約2900物質へ拡大、化学物質管理は“自律管理”の時代に

 一方、「化学物質による健康障害防止対策等の強化」として掲げた改正は、化学物質の譲渡・提供者に対する危険性・有害性情報の通知義務に罰則を設けるほか、成分名の営業秘密保護の取り扱いについて一定の例外を認めるなど、情報伝達制度の整備が進められます。

 また、個人ばく露測定を作業環境測定の一部として位置付け、適切に実施する担保措置が強化されます。これにより、事業者は化学物質のリスクアセスメントやばく露低減措置など、安全管理体制の強化が求められることになります。

 化学物質管理については、物質の多様化や国際的な動向を背景に、化学物質ごとに細かく規制する従来の仕組みから、事業者が主体的にリスクを把握・管理する「自律的管理」を基軸とする制度へと見直しが進められています。

 この見直しにより、化学物質の譲渡・提供者には危険・有害性情報の表示やSDSの交付、事業者にはリスクアセスメントの実施が求められ、2026年4月には、その対象が国際基準に基づき分類された約2900物質、すなわち危険性または有害性のあるすべての化学物質に拡大される予定です。

機械安全と高齢者対策も強化、現場の安全管理はこう変わる

 このほか、「機械等による労働災害防止の促進」に関する改正では、特定機械等の製造許可に係る構造基準の審査や、移動式クレーン・ゴンドラの製造時等検査について、民間の登録機関が実施できる範囲を拡大します。あわせて、登録要件の整備や行政処分の仕組みを設けることで、登録機関の業務の適正性と不正防止を図るというものです。

 「高年齢の労働災害防止の推進」に関する改正では、高年齢労働者の特性に配慮した就業環境の整備や健康管理の強化などの措置が、事業者の努力義務として位置づけられています。

 具体的には、体力や健康状態の把握、職場環境の改善、安全衛生管理体制の確立・安全衛生教育などを含めた対策が求められ、今後のガイドラインや指針の策定により対応が具体化されていく予定です。

メンタルヘルス推進の義務化範囲が拡大

 次に、「職場のメンタルヘルス対策の推進」について詳しく見て行きましょう。こちらの項目については、交付(2025年5月)から3年以内の施行となっています。

 メンタルヘルス対策として企業に課せられた「ストレスチェック制度」は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的に、労働安全衛生法に基づいて導入された制度です。

 改正前は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で実施が法的義務とされ、50人未満の事業場では努力義務にとどまっていましたが、今回の法改正により、この区分が見直され、事業場の規模にかかわらずストレスチェックの実施が義務化されます。

画像
ストレスチェック制度の全体像
(出典:厚労省資料

 事業者に求められる対応としては、まず、実施時期や対象者、方法を整理し、制度運用に向けた体制や社内ルールを整備することです。その上で、すべての労働者を対象に質問票によるストレスチェックを定期的に実施し、心理的負担の状況を把握します。

 検査後は、労働者本人に結果を通知し、希望する場合には医師や産業医などによる面接指導を行います。また、面接結果を踏まえ、業務内容や就業環境の調整など、必要な就業上の措置を検討・実施することが求められます。個人結果にとどまらず、集団として分析を行い、職場全体のストレス傾向を把握し、職場環境の改善につなげることも重要とされています。

 このように、労働安全衛生法・作業環境測定法における2026年4月1日施行分の改正は、全事業場での安全衛生管理体制の強化、化学物質管理の整備、機械安全の強化、高年齢者対策など多岐にわたります。また、ストレスチェックの義務化の範囲拡大も迫っています。事業者側はこれまでの労働者保護の枠組みを超えて、自社だけでなく請負・委託を含めたすべての働く人々を念頭に置いた安全衛生対策を進める必要があります。

【保存版】改正対応チェックリスト(4月1日施行分)

 最後に、2026年4月1日に施行された改正内容について、以下の対応が適切に整理・運用されているかを確認しておきましょう。

  • 混在作業が行われる現場において、連絡調整・安全配慮の体制が整っているか
     注文者や元方事業者として、労働者と個人事業者等が同一の場所で作業する場合の情報共有や指示系統が明確になっている。

  • 個人事業者等を含めた作業従事者への安全衛生上の配慮が適切に行われているか
     作業内容や危険性に応じた注意喚起や必要な措置が講じられている。

  • 化学物質の成分情報に関する新たな情報伝達ルールに対応できているか
     営業秘密に該当する場合の代替化学名等による通知、記録の保存、医師からの求めに応じた開示体制が整備されている。

  • 化学物質の危険性・有害性情報の把握・管理体制が維持されているか
     SDS(安全データシート)等を通じて必要な情報が適切に管理され、現場で確認できる状態になっている。

  • 特定機械等に関する安全管理・検査対応が制度見直しに沿って整理されているか
     製造許可審査や製造時等検査に関する新たな制度(登録機関の活用拡大等)を踏まえた対応が確認できている。

  • 高年齢労働者への配慮に関する取り組みが進められているか(努力義務)
     体力や健康状態を踏まえた作業管理や職場環境の改善などについて、指針を踏まえた検討・対応が行われている。

 今回の改正は段階的に施行されるため、2026年4月1日以降も追加の対応が順次求められます。4月施行分を確実に押さえるとともに、今後の施行スケジュールも見据えた継続的な対応が重要です。

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