- 2026/04/01 掲載
【4月施行】「労働安全衛生法」何が変わる? 個人事業者も対象に、企業対応を総整理
元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」
なぜ改正?「雇用関係」前提から“転換”が必要だった背景
労働安全衛生法は、よく耳にする「労働基準法」と同様に、弱い立場に置かれがちな働く人々を守るためのルールを定めた法律です。労働基準法が賃金など労働条件に関わるルールであるのに対し、労働安全衛生法は実際に働く環境での心身の安全を確保するためのルールが定められています。- 労働基準法:賃金など労働条件に関わるルール
- 労働安全衛生法:実際に働く環境での心身の安全を確保するためのルール
これまでの労働安全衛生制度は、働く人すべてを対象にしているわけではなく、雇用関係を前提に設計されていました。しかし現場では、雇用関係にある人もそうでない人も、作業環境で業務に従事していることがあり、安全配慮や災害防止の責任が曖昧になるといった課題が生じていました。また、メンタルヘルス不調や高年齢者の労災、化学物質による健康リスクなど、従来の制度では十分に対応しきれない課題も顕在化してきました。
こうした状況を踏まえ、2025年5月に公布された労働安全衛生法・作業環境測定法の改正法では、以下のような措置が盛り込まれました。
- (1)個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
- (2)職場のメンタルヘルス対策の推進
- (3)化学物質による健康障害防止対策等の推進
- (4)機械等による労働災害の防止の促進
- (5)高齢者の労働災害防止の推進
改正といってもこれらのルールが一気に変わるわけではなく、内容に応じて段階的に施行されることになっています。特に2026年4月1日には、事業者に求められる対応が大きく広がることになります。
4月1日から何が変わる? 企業が今すぐ確認すべきポイント
では具体的に、企業は何を見直す必要があるのでしょうか。
まず、「個人事業者等に対する安全衛生対策の推進」として掲げられた改正は、従来から労働安全衛生法の対象となっていた「事業者」に加え、事業者と同じ場所で作業する個人事業者も、保護対象かつ義務の主体として位置づけています。
具体的には、建設業、造船業、製造業などで、注文者(たとえば建設業におけるゼネコンなど)が講じるべき措置として、事業者と個人事業者が混在する作業現場における災害防止のための連絡調整等の措置義務が強化されます。
これにより、注文者側は単に自社労働者だけでなく、請負・委託先の個人事業者を含むすべての作業従事者に対して安全衛生上の配慮と管理を行う責務が明確化されます。
また、個人事業者自身も安全衛生教育の受講や特定機械等の適切な使用・管理、危険作業に就く際の措置を講じる義務が課される点も重要です。これらの義務化は、いわゆる「混在作業」の危険を低減し、施行当初から順次強化されていく予定です。 【次ページ】対象は約2900物質へ拡大、化学物質管理は“自律管理”の時代に
ワークスタイル・在宅勤務のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR