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- 2026/03/17 掲載
結局、裁量労働制は「善」か「悪」か? 調査から見えた「年収との意外な関係」とは…
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。
「裁量労働制」は悪なのか?
「裁量労働制の拡充は、働く者の命と健康に悪影響を及ぼすリスクがあるとの考えから、断固として反対の立場でございます」日本最大の労働組合である「連合」の芳野友子会長は、2026年2月の記者会見でこう述べて、裁量労働制に強く反対する姿勢を示した。実際には業務量や労働時間の配分が自分で決められず、一部で長時間労働が当たり前になっている事態や、残業代を払わない手段として使われているといった声が寄せられている事実を挙げている。制度を広げるのではなく、正しい運用を徹底する働きかけが強く求められていると指摘した。
ただ筆者は、芳野会長のこの発言は、数字と調査結果を用いて検証していく必要性を感じている。
「働き方」で考えるべき“ある盲点”
この裁量労働制に関する発言に対して、ふと、考える疑問がある。人間はいつから、時間を切り売りして働くようになったのだろうか。かつての工場労働では、決められた時間、ベルトコンベアの前に立ち続ける働き方が労働の価値であった。定められた終業時刻まで耐え忍ぶ働き方が、過去の経済成長を支えていたわけだ。しかし、時代は大きく変わり、産業の構造も根本から変化した。現代の仕事は、机の前にただ長く座り続けて結果が出るものばかりではない。
トラックを運転する人、商品を売る営業の人、会社のお金を管理する経理の人。まったく違う仕事をしている人々が、まったく同じルールで働く必要があるのだろうか。方向性としては、各業界、各会社で、それぞれの仕事に合ったルールを定めていく形が適切である。とにかくお金を稼ぎたいと願う人や、子育て中で在宅ワークを選択する人にとっては、働く時間を自分で決める裁量労働制のほうが圧倒的に良い場合がある。
そのルールを決める際、労働者1人ひとりの意見がしっかりと反映される仕組みが何より大事である。 【次ページ】厚労省の「実態調査」が示す意外な結果
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