• 2026/04/03 掲載

「未成年SNS規制」の衝撃…日本は?訴訟乱発でも禁止できぬ“米国の本音”と次の急務(3/3)

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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SNSよりも深刻事態…すでに始まっている次の「緊急課題」

 こうした中、SNS規制よりもさらに緊急性がある課題として米議会で議論されているのが、ティーンによるAIの利用である。

 米上院では、共和党のジョッシュ・ホーリー上院議員とケイティ・ブリット上院議員、民主党のリチャード・ブルーメンソール上院議員らが中心となって超党派で、18歳未満のAIチャットボット利用を規制する法案が審議されている。

 その背景にあるのは、米AIスタートアップOpenAIのChatGPTを相談相手として利用していた16~83歳の7人の自殺だ。同社の製品が、AIに対する心理的な依存や有害な思考を助長したという見方がある。AIチャットボットは元来、医療用に設計されたものではなく、自殺願望を持つ人に同調する回答を返すことが多い。すでに遺族らは、「安全性テストの期間を意図的に短縮した」などとして、OpenAIに損害賠償を求める裁判提起している。

 OpenAIはこれらの事案もあり、子供がChatGPTを利用する際に保護者が管理できる機能を整備した。一昔前にメタのFacebookが同様に非難された事例と比較して、対処法の既視感(デジャブ)がある。

 具体的にOpenAIは、AI企業が従うべき項目として、「10代の安全を最優先に考える」ことを挙げ、(1)10代を特定して年齢に応じた対応をする、(2)自殺や自傷行為の描写、親密なコンテンツや暴力的なコンテンツを禁止する、(3)若者とAIに関する最新の研究に基づいた機能を組み込む、などの対策を講じるとしている。

 また同社は、ティーンの自殺などAIリスクなどに対応する新たな役職の募集を、年俸55万5000ドル(約8,660万円)を提示して開始した。

米国が探る“落としどころ”

 米国ではSNS規制に関するより効果的な「落としどころ」が模索されている。

 ティーン保護の妥協策として、東部ニューヨーク州で12月に施行されたのが、SNSに対して中毒性のある機能の警告表示を義務化する法律である。対象として、中毒性のあるフィード、自動再生、無限スクロールが挙げられているが、ティーンによるSNS利用そのものを禁止するのではないところに特徴がある。

 また35州で、児童・生徒の在校時間中のスマホ利用を禁ずる法律が施行されている。そもそも、児童・生徒の本分は勉学なのであり、学校にいる間のSNS利用が規制されても、登校前と放課後はアクセスできるので、言論の自由の侵害にはならないわけだ。

 このように米国では、言論の自由に関連してSNSやAIの規制が困難な状況だ。ティーンのAI利用も法律による制限ではなく、(1)テック企業の自主規制、(2)警告表示の義務化、(3)10代のスマホの利用時間制限など、従来から行われている無難な「落としどころ」に落ち着くだろう。

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