• 2026/04/09 掲載

「SaaSの死」「ECの死」…次に消えるのは“邪魔な広告”? AIが壊すネットの常識(2/2)

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嫌われすぎた広告、インターネット進化の代償

 インターネットの世界では、詐欺広告、誇大広告、性的な広告、著作権・肖像権を侵害した広告など、不適切な広告が蔓延している。その中には、違法なモノも少なくはない。それだけではなく、最近は「見たくない広告が大量に表示される」「広告を消そうと思っても消せない」といった不満を目にすることも増えてきた。

 ECにせよ、広告にせよ、インターネットの世界は、ユーザーの詳細なデータが取得可能で、ユーザーの属性や嗜好に合わせて、きめ細かな情報を配信できることが売りであった。しかしながら、最近のインターネットの世界は、利益を優先するあまり、利用者のニーズに応えることが後回しになってしまっている。

 生成AIの進化と浸透によって、上記の課題が解決されることが期待されている。逆に、それができなければ、生成AIは利用者に寄り添ったツールとして受容されないままに終わってしまうだろう。

“生成AI頼み”の宣伝では失敗? AIマーケティングの行方

 企業が生成AIを活用した顧客向けのマーケティング活動として、AIエージェントも含めて、いくつかの方向性が想定できるだろう。具体的には、以下のようなものが考えられる。

  1. AIエージェント
  2. AI最適化(AIO)
  3. 生成AIサービスへの広告出稿

 1については、EC以外にもさまざまな業界、商材での活用が考えられる。たとえば、AIエージェントを活用して、旅行代理店が顧客のニーズに合わせて最適な旅行商品を推奨したり、アパレルや化粧品関連事業者が顧客にあったコーディネートやメイクを提案したりする──といったようなことが想定できる。

 AIエージェントにより、製薬会社や食品メーカーが顧客の日々の健康管理を行ったり、教育・キャリア支援サービスを行う事業者が受験や資格取得の支援をしたりする──といったより幅広いサービスを提供していくことも考えられるだろう。

 2つ目のAI最適化(AIO AI Optimization)とは、生成AIによる検索結果の要約や対話型AIツールの回答に、自社Webサイトや自社商品が表示されるように最適化させる手法のことだ。

 これまでは、検索エンジンでの検索結果の上位に表示させる検索エンジン最適化(SEO:Search Engine Optimization)が重視されてきたが、消費者の間で検索エンジンの代わりに生成AIに聞いてみるという行動が一般化していくと、企業側も「AI最適化」を重視せざるを得なくなる。

 最近、次のようなXの投稿が話題になっていた。
 Geminiに相談して決めた皮膚科に行ったら 問診票の「どうやってこの皮膚科を知りましたか?」の欄に「生成AI」ってあって さっそくここはAIO特化してるのか…ってなった。(Xの投稿より引用
 当該の皮膚科が生成AI対策を行っていたかは不明だが、患者側も病院側も病院選択に生成AIが重要な役割を果たしていることを示す象徴的な事例であると思う。

 筆者自身、低リスクの投資対象を探している中で、生成AIで調べてみたところ、何社かの金融商品が紹介された。ただし、すべての商品が網羅されていたわけでもないし、十分な説明がなされているわけでもなかったため、あくまでも参考にとどめる程度だったが……。

 3点目に関しては、現時点では実験的に導入が始まっている段階であるが、いずれ正式に導入されると考えられる。

 現在でも、広告業務においてはクリエイティブ制作や運用最適化にAIの活用が積極的に行われている。一方で、AIプラットフォームは、これまではサブスクリプション(有料課金)モデルで収益を得てきた。

 事業者間の競争が激しくなった現在では、より多くの資金調達が必要になる。また、利用者が拡大すれば広告媒体としての価値が高まっていく。AIプラットフォームが本格的に広告枠の提供を始めるのは、時間の問題であると思う。

 すでに、ChatGPTでは特定ユーザーを対象に広告のテスト運用が始まっているし、Google(Gemini)の検索結果では、回答に関連する商品の広告が表示されるようになっている。現時点では未知数の部分も多いのだが、将来性が高いことは間違いはないだろう。

 これまで述べてきた手法は、すべて発展途上で、今後どのような展開をするかは現時点では分からない点も多い。しかしながら、人々が生成AIを消費行動で活用するようになっており、さらにその傾向が今後強まっていくことは間違いがなく、それに合わせた多様なソリューションが模索されていることも確かだ。

 いずれにしても、最も重要なことは、本当に顧客に資するようなサービスを実装することであり、それが顧客のライフタイムバリュー(LTV:顧客生涯価値)の向上にも資することになるに違いない。

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