• 2026/04/20 掲載

驚異の5割時短…弥生が「AI駆動開発」で大成功、CTOが包み隠さず語った「実践の全貌」(2/2)

連載:マスクド・アナライズの生成AI最前線

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「失敗も多かった…」、PoC貧乏どう切り抜ける?

 一方、成功の裏側には多くの失敗がつきものだ。弥生も同様で、度重なる失敗を経てきたという。

「挑戦したものの成果がなかったという意味では失敗も多いです。たとえば開発で利用するOSSのバージョンアップを自動化する取り組みでは、自動化による効果を体感できず、結果的に手動で行うことになってしまいました。ただ、2026年時点ではAIが進化したことで、うまくいくケースも増えてきています」

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 特に、多くの企業ではPoC(概念実証)で頓挫して、本格的な導入に進めない失敗事例が多い。これらは「PoC貧乏」と呼ばれており、AI導入活用の壁になっている。

「PoCにおける失敗には傾向があります。成功事例では現場が解決したい要望に対して有効なものが納入される一方で、失敗事例では役職者による指示が優先されてしまい、現場の意向が無視された結果、誰も使わないという失敗があります。失敗要因として、『AIを使えば良い』という結論が優先されています。指示は『なぜAIを使うのか』『AIを何に使ってほしいか』にとどめて、『どうやって実現するか?』は、現場に任した方がうまくいくでしょう」

AI活用の効果を測る「健康診断」

 AI活用による成果の効果測定や評価は難しい問題だ。エンジニアの生産性はプログラムを書いた行数では測ることができない。一方で特定の指標を設定すると、表向きの数字だけを求めてしまい、本末転倒となる。そこで弥生では独自の体制を構築している。

 本質として求められるのは顧客への価値提供であるという考え方から、製品の販売数やサービスの継続率、ARR(年間経常収益)やLTV(顧客生涯価値)などの指標を重視。また、顧客の要望から機能追加における仮説を立てて、機能実装への対応や正常動作も考慮しているという。

「さらに、システム開発の生産性において「DORA(ドーラ:開発スピードとシステム安定性のバランスを評価する指標)」を元に、機能実装の頻度やエラー発生時の修復時間などを測ってみました。ですが、これは難しい状況です。製品によって指標の変動幅が大きく、人材の出入りや季節性などの外部要因にも影響されて、正しく比較ができないためです」

 しかし佐々木氏は、数字の操作に終始して本質を見失う点を繰り返し強調。先行指標と遅行指標の両方を長期的に注視する必要性を説いている。

「効果測定や指標については『チームの健康診断』と説明しています。さらに『全チームを横並びで同じ数字の絶対値で比較するのはやめよう』と、経営側を含めてアナウンスしています」

 最後に弥生が取り組むAI駆動開発において、今後の取り組みを聞いた。

「AI駆動開発によって、より高い開発生産性を実現しました。そして開発したものは利用してもらうだけでなく、安定して運用しなければいけません。こうした運用周りにおいて、AIによる自動化を進めたいです。特に土日夜間における障害発生の電話は、エンジニアにとってプレッシャーや負担にもなります。次は運用の完全自動化を実現して、電話による呼び出しゼロを目指したいですね」

 AIにおいてソフトウェア開発の支援やエンジニアにおける生産性向上を期待する声は多い。しかし、実際に導入から標準化を進めて成果を出しながら、効果測定まで行っている事例はまだ少ない。しかし弥生は新たな技術を積極的に活用する文化を背景に、AI駆動開発の実現に至った。どの企業もこうした事例を参考に、積極的なAI活用と価値創造につなげてほしい。後編の記事では、AIによって変化する組織や働き方に迫っていく。

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