• 2026/05/26 掲載

AIで「生産性アップ」「雇用減」は本当か? 世界6000人調査が暴いた“認識ギャップ”(2/2)

篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第193回)

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【驚き】経営陣のAI利用は週1.5時間、雇用や生産性に影響は

 この調査では、経営陣がAIをどの程度利用しているか、また、雇用や生産性への影響を経営陣がどう認識しているか、などの項目でも興味深いデータが提示されている。

 まず、経営陣のAI利用実態についてみると、AIをまったく利用していないと回答した経営者は4カ国全体で28%だ。72%の経営者は自分も利用していると回答している。ただ、その利用時間は、週平均1.5時間と控えめだ(図表3)。

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図表3:経営者自身のAI利用状況(国別)
(出所:NBER(2026)をもとに編集部作図)

 世の中の関心が高い雇用や生産性への影響については、過去3年間のAI利用で「雇用への影響がない」と回答した経営者は、4カ国合計で91%(米国89%、英国89%、ドイツ95%、豪州81%)に達している。

 同様に、過去3年間のAI利用で「生産性に影響がない」とする回答も、同89%(米国91%、英国89%、ドイツ91%、豪州79%)と高い。影響があったと回答した企業では、プラスの効果となっているものの、そのインパクトは3年間の累積で0.29%にとどまっている。

 今後3年の見通しについては、雇用を0.68%減少(米国1.19%減少、英国1.36%減少、ドイツ0.06%減少、豪州0.05%増加)させ、生産性を1.44%上昇(米国2.25%上昇、英国1.86%上昇、ドイツ0.87%上昇、豪州0.92%上昇)させる予想だ(図表4)。

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図表4:今後3年間のAIによる生産性と雇用へのインパクト(経営陣)
(出所:NBER(2026)をもとに編集部作図)

 つまり、AI導入の雇用や生産性へのインパクトを俯瞰してみると、これまでのところ限定的というのが実情のようだが、今後は次第に影響が大きくなるとみられている。

経営陣と現場で正反対?データが示す衝撃の「認識ギャップ」

 米国に関しては、経営陣だけでなく従業員約3000人にも同じアンケートを実施しており、AIに対する経営陣と従業員の認識を比較することが可能だ。それによると、従業員のAI利用時間は週平均1.8時間であり、米国の経営陣(1.7時間)とほぼ同程度だ。

 ただし、雇用や生産性への影響については、いくつか異なる傾向が観察される。たとえば、雇用について、従業員は過去3年間で平均0.33%増加したと回答し、今後3年はさらに0.45%に増勢が強まると予測している(米国の経営陣は、過去3年間で0.09%減少し、今後3年間で1.19%減少すると予測)。

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図表5:AIによる雇用と生産性へのインパクト(従業員)
(出所:NBER(2026)をもとに編集部作図)

 一方、生産性については、過去3年間に0.49%上昇し、今後3年間は0.92%上昇すると従業員はみている。生産性が高まる見通しとはいえ、かなり控え目だ。なぜなら、米国の経営陣は、過去3年間で0.24%上昇にとどまっていた生産性が、今後3年間は2.25%上昇すると大きく加速する見通しを立てているからだ。

 この認識の差がどこから生まれるのか、また、こうした認識ギャップが将来どのような問題を引き起こすのか、詳細は不明だ。この点は今後さらに掘り下げて考察する必要があるだろう。

〔参考文献〕
1) NBER(2026)“FIRM DATA ON AI,” National Bureau of Economic Research, NBER WORKING PAPER SERIES, No. 34836, February 2026, Revised March 2026, pp. 1-68.

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