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- 2026/06/05 06:10 掲載
ジェンスン・フアンCEOの「予言」から2年、日本企業をこれから襲う「中間管理職の死」(2/4)
マッキンゼーも予言していたホワイトカラー業務の自動化
2026年現在、多くの企業で生成AIを活用した文書作成、議事録作成、社内検索、問い合わせ対応、業務支援システムの導入が進んでいる。ただし、すべての企業で業務プロセス全体が自動化されているわけではない。導入は広がったが、実際の業務改革に結び付けられるかどうかは企業ごとに差がある。
この技術的インパクトの規模を示すデータとして、米マッキンゼー・アンド・カンパニーが2023年に発表したグローバルレポート「The economic potential of generative AI」は今も参照されている。
同レポートは、生成AIを含むテクノロジーの進化により、将来的には労働者の業務時間の60~70%を占める活動に自動化の可能性があると予測した。さらに、生成AIはこれまで自動化が難しいとみられてきた知識労働にも影響を及ぼすと分析している。管理職についても、従来想定より高い割合の業務が自動化可能になるとの見方を示した。
この自動化の波は、フアン氏の組織論が示す「情報の中継役」としての管理職の仕事を直撃する。状況報告書の作成、定例会議のためのデータ集計、議事録の要約、タスクの抽出、進捗の整理といった業務は、生成AIが比較的得意とする領域である。
企業が社内データ基盤や生成AIシステムを整備すれば、営業実績、プロジェクトの進捗状況、現場の課題といった一次データを、人手だけに頼らず抽出、要約、分析することが可能になる。経営ダッシュボードやBIツールと組み合わせれば、経営層が必要な情報に直接アクセスする仕組みも作りやすくなる。
これにより、部下から集めた数字を表計算ソフトに入力し、プレゼン資料の見栄えを整え、上司の承認を得るという業務の価値は相対的に下がる。日本企業の中間管理職が多くの時間を費やしてきた「報告のための報告」は、生成AI時代に縮小圧力を受ける。
ただし、AIが常に正確なファクトを経営トップに届けるわけではない。生成AIには誤答や情報の欠落、出典不明の要約、社内データへのアクセス権限の問題がある。AIを使えば社内政治や忖度が消えるというほど単純でもない。むしろ、AIの出力を誰が検証し、どの情報を経営判断に使うのかという新しい管理責任が生じる。
したがって、管理職の存在理由がすべて失われるわけではない。失われるのは、手続きを円滑に回すことだけを付加価値としてきた仕事である。人が人を監視し、報告を精査するためだけに多額の人件費を支払う構造は、生成AIによって不経済さが可視化される。
大企業の組織構造そのものの刷新は不可避とまでは言い切れない。しかし、報告、確認、調整に偏った管理業務を見直す圧力は確実に強まっている。
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