- 2026/06/19 掲載
ガートナー予測…AIエージェントで「75%自動化」データエンジニアの仕事は消えるのか
東北大学大学院応用化学専攻修了。大手製造業を経て自治体に勤務し、大学での産学連携業務も経験。現在はビジネス分野を中心に取材・執筆。導入事例、記事広告、技術紹介、セミナー記事、SEO記事、法令解説記事などのほか、企業向けコンテンツ制作にも携わる。理系・技術職出身で、環境分野(脱炭素・廃棄物・水質)に強み。脱炭素アドバイザー(環境省認定)、公害防止管理者。著書に『ビジネス教養として知っておくべきカーボンニュートラル』(ソシム)。
AI先進企業ほどハマる「データの壁」の正体
AI導入の障壁としてよく挙げられるのは、データの可用性や品質、セキュリティリスクである。注目すべきは、実はAI活用が進んでいる組織ほど、こうしたデータ関連の課題が大きな壁になりやすいという点だ。ガートナーの調査によると、データ管理リーダーが今後2~3年で投資すべき取り組みとして最も多く挙げたのが、AIが活用できる形にデータを整備する「AI-Readyデータへの投資」である。
データの品質やガバナンス、データ統合といったテーマも上位に並ぶが、グ氏は「データ管理の取り組みは、すべてAI-Readyに向かっていると言えます。そうでなければ、優先順位を履き違えている可能性がある」と指摘する。
AIが扱うデータ量は今後さらに増加する。手作業に依存したデータ管理が限界を迎えつつある中で、関心が急速に高まっているのが「AIエージェント」だ。
ガートナーによると、AIエージェント関連の問い合わせは750%増加している。またCEOの77%がAIを今後3年間で業界に最も大きな影響を及ぼすテクノロジーと捉えており、2029年までにはエージェント型データ管理によって、データの収集・加工・処理といったエンジニアリング業務の75%が自動化されると予測されている。(下図)
つまり、AI活用の鍵を握るデータ管理そのものをAIによって自動化する時代が始まりつつあるのだ。
とはいえ、ここで言う「データ管理向けAIエージェント」は、従来の自動化ツールの単なる延長線上の存在ではない。グ氏はその違いを、定義に含まれる「2つのキーワード」から解き明かしていく。
従来ツールと何が違う? これから必須な「2つのキーワード」
では、そもそも「データ管理向けAIエージェント」とはどのようなものか。ガートナーはこれを「組織のデータエコシステム内で、環境を知覚し、アクションを起こして、特定の目標を達成するためにAI技法を適用する自律的または半自律的なソフトウェア」と定義する。また、グ氏は、この定義の中に2つの重要なキーワードがあると説明する。
1つ目は「環境を知覚する」ことだ。従来のAIツールでは、「このテーブルのデータのエラーを修正してください」といった具体的な指示が必要だった。一方、AIエージェントは「売上データを分析したい」といった目的を与えるだけで、自ら必要な作業を判断して実行する。これがAIエージェントの大きな特徴だと言う。
2つ目は「データエコシステム」である。データ管理は、データベースやデータエンジニアリング、データ統合、ガバナンスなど複数の領域で構成される。AIエージェントはその全体を横断して機能する点で、従来の支援ツールとは異なる。
また、AIエージェントは「モニタリング」「計画」「学習」「実行」の4つのプロセスで動作する。まずデータ環境をリアルタイムで監視し、複雑な目標を分解して計画を立てる。さらに過去の経験やログを学習しながら判断の精度を高め、実行に移す。
さらにグ氏は「学習」の重要性を特に強調した。過去の経験が蓄積されるほど判断の精度が向上し、より適切な対応が可能になるためだ。
つまり、従来のデータ管理がルールベースの自動化に依存していたのに対し、AIエージェントは適応性を備えた自己学習システムとして機能する。変動や曖昧さにも対応しながら複雑なワークフローを実行できる点が、従来との本質的な違いなのだ。
では、この“自己学習するエージェント”は、データエンジニアリング、品質、ガバナンスの現場をどこまで塗り替えるのか。 【次ページ】エンジニアの仕事は「保守」から“あの役割”へ
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