• 2026/06/24 掲載

【ガートナー解説】せっかくの「AI導入がムダ」に終わる罠、成功企業96%の「共通点」

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AIを導入したのに、成果が出ない――そんな悩みを抱える企業が後を絶たない。成功企業と失敗企業を分ける決定的な要因は何なのか。そのヒントを、ガートナーが明らかにした。1つは「AIリーダー職」という存在だ。AI活用の成熟度の高い企業の実に96%が、このAIリーダーを配置している。では、AIリーダーとは何なのか、どうすれば成功できるのか。ガートナー ディスティングイッシュト バイス プレジデント, アナリストのエリック・ブレテヌー氏が分かりやすく解説する。
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図1:AI活用の成功に必須となるAIリーダーはすでに多くの企業で配置済みである
(出典:ガートナー)

AI成功企業の9割が配置する「AIリーダー」とは

 AI利用が急速に広がる中、この新たな武器をいかに経営に生かすかが企業の経営課題となっている。「この取り組みを前進させるために、我々が不可欠な存在と位置付けているのがAIリーダーです」と語るのは、ガートナーのブレテヌー氏である。

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【画像付き記事全文はこちら】ガートナー ディスティングイッシュト バイス プレジデント, アナリスト エリック・ブレテヌー氏

 ブレテヌー氏によると、AI活用で成功を収めるには、いくつもの条件を満たす必要があるという。AIによるイノベーションの戦略的な追及もその1つ。そのためには、既存の業務プロセスをAIで見直すことが欠かせず、その土台として全社的なAIリテラシーの向上が必須となる。

 ブレテヌー氏は、「活用の方向性を社内に明示するためのAI戦略の策定はもちろん、AIの技術的な進化も欠かせません。AIリーダーは、それらの困難な取り組みを指揮し、AIで得られる成果の責任を負う最上級の経営幹部にほかなりません」と説明する。

 ガートナーの調査によると、AI活用の成熟度の高い組織では96%が、成熟度が中程度の企業でも91%が専任のAIリーダーを配置済みだ。またAIリーダーがCEO直属である割合は73%に達しており、「AIリーダーはいわば、経営陣と二人三脚でAI活用度の底上げ役を担う存在」なのである(冒頭の図1)。
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大半の企業が“初期”段階…AI活用は「3段階で高度化」する

 AI活用は、その使いこなしの進ちょく度から、次の3段階で高度化するという。最初は各種業務の自動化である「防御(生産性指向のマイクロイノベーション)」、次がAIと人の協調・協働により既存の成果を増幅する「拡張(測定可能な価値を伴うプロセスやプラクティスのイノベーション)」、最後が他社との抜本的な差別化を実現する、これまでにないサービスやプロダクトを創出する「転換」である。

 現状のAI活用の大半は「防御」にとどまり、この段階での成果は効率化のみ。AIによる成果としてとても小粒だが、多くの企業がそこで満足しているのが現状だ。何らかの変革につなげるには、次の「拡張」に進める必要があり、ここで初めて、たとえばコールセンター業務のAIによるエスカレーションの自動化などのプロセスの見直しと、サービス向上など新たな価値創出が始まる。

「最後の『転換』に至ることで、AIだからこそ可能なビジネスモデルやサービス自体などの、他社との抜本的な差別化を実現できます。言い換えれば、AIリーダーのミッションは、『防御』から『拡張』『転換』への脱却の可能性を事細かく探り、その実現を指揮することにほかなりません」(ブレテヌー氏)

 この取り組みで「極めて重要」としてブレテヌー氏が強調するのが「AIファースト」である。AIによる変革の可能性を認識し、それを組織として最大限に考慮する考え方であり、戦略的なアプローチだ。飛躍的な改善を追求し、それを実現する取り組みである。

「そのためにはAIの可能性についての思い込みをリセットしなければなりません。また、変化に向けた挑戦や、たとえそれが失敗に終わっても、次の挑戦を許容する環境の醸成も必要になります。そのための全社的な意識改革が欠かせないことは言うまでもありません」(ブレテヌー氏)

 ブレテヌー氏によると、AIによる挑戦を主体的に担うのは、業務に最も精通した各現場の社員だ。AIリーダーは、現場と挑戦のアイデアを共有し、技術やコスト、権限などの面で新たな挑戦を取りまとめて支援する役割を担う。ガートナーでは、2028年までに組織全体でAIファースト戦略を導入する企業は、そうではない企業と比較し25%優れたビジネス成果を達成すると予測している。 【次ページ】そのAI、実現可能? 挑戦する前に見たい「AIレーダー」
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