• 2026/06/19 掲載

ガートナー予測…AIエージェントで「75%自動化」データエンジニアの仕事は消えるのか(2/2)

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エンジニアの仕事は「保守」から何に変わる?

 AIエージェントによって、データ管理の中核機能はどう変わるのか。グ氏は、データエンジニアリング、データ品質、データガバナンス、セキュリティといった領域で変革が進むと説明する。

 データエンジニアリングの領域では、従来、データエンジニアがデータを収集・加工するための処理手順をコードで記述し、手作業で管理してきた。AIエージェントを活用することで、こうした作業は自動化される。データ形式が変わった場合でも、AIエージェントが自動で検知し修正することが可能だ。

 グ氏は「データエンジニアの仕事は、日々の保守作業から、アーキテクチャー(設計)へと移行していきます」と説明する。

 データ品質管理の領域では、AIエージェントがデータの異常や品質低下を継続的に監視し、問題が発生した場合は原因を分析して自動的に修復を行うようになる。たとえば、ユーザーがデータへのアクセスを要求した場合、AIエージェントはPII(個人識別用情報)やアクセス権を確認し、利用目的や利用者の役割に応じてアクセスの可否を判断する。

 この考え方は、データガバナンスにも広がる。AIエージェントは利用状況やログを継続的に監視し、情報漏えいや不正利用の兆候を確認する。こうした自動化は、コンプライアンスのモニタリングやデータの分類・タグ付けといった作業にも広がっていくと言う。

 グ氏は「手作業のガバナンスはマシンスピードに対応できません」と説明する。AIエージェントが自律的に動く時代には、人間が1件ずつ判断するのではなく、ルールをシステムに組み込んで自動的に制御する仕組みが不可欠になる。

バッチ処理はもう古い?覆される“2つの常識”

 グ氏は、AIエージェントによる自動化が進んだ場合に起こり得る「ディスラプション(創造的破壊)」として、従来のデータ管理の常識がどう覆されるかについても説明をした。

 まずデータの連携方法である。これまでの一括でデータを処理するバッチ方式では、AIエージェントに対応しきれない可能性がある。AIエージェントには、流動的でリアルタイムに接続できるデータ環境が必要となるためだ。グ氏は「エージェントは今この瞬間を生きている」と説明し、バッチ処理だけではエージェントの有用性が失われると述べる。

 もう1つはメタデータだ。メタデータとは、データの意味や属性などの付帯情報を指す。これまでは主に監査のために管理されてきたが、AIエージェントの時代には「AIの取扱説明書」として重要な役割を担うようになると言う。

 さらに、過去に誰がどのデータをどのように利用したかという履歴情報を持つ「アクティブ・メタデータ」も重要になる。こうした情報が蓄積されることで、AIエージェントはデータの背景や利用文脈である「コンテキスト」を理解しやすくなるためだ。

 逆に、こうしたコンテキストが十分に整備されていなければ、AIはデータの意味を正しく理解できず、誤った判断を下す可能性があると言う。

半年で何をすべきか? ガートナー流「3段階」ロードマップ

 それでは、組織はエージェント型AIの準備と導入をどう進めればよいのか。グ氏は3段階からなるロードマップを示した。

 まず今から半年の間で、部分的にでもAIエージェントの試験運用を始めることを推奨する。細かい指示を与えるのではなく目的を伝える形で、データ品質のチェックといった小さな作業から取り組む。並行して、データの過去の使用状況を明らかにするなど、AIエージェントが必要とするコンテキストをどれだけ整備できているかを評価することも重要だと言う。

 その後の半年間では、AI向けにデータの意味を定義する基盤である「セマンティック・レイヤー」の整備に取り組む。その上で将来的には、データ管理の自動化を本格的に展開する段階へと移行する。

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エージェント型AI導入に向けたロードマップ。0~6カ月以内は社内エージェントの試験運用とコンテキスト準備態勢の評価、6~12カ月以内はセマンティック・レイヤ/ナレッジ・グラフの実装、12~18カ月以内は完全自律型データ・プロダクト化と「コードとしてのポリシー」への移行を進める
(出典:ガートナー(2026年5月))

 データの意味を定義し、マシンのスピードに対応できるガバナンスを整える。それがエージェント型AIを真に機能させるための、組織に求められる取り組みだとグ氏は説く。

 そして講演の最後にこう述べた。「エージェント型AI導入の障壁は、モデルではなく、データのコンテキストにあります。それこそが、あなたが対応すべき領域です」。
※ 本記事は2026年5月19~21日に開催された「ガートナー データ&アナリティクス サミット」の講演内容をもとに再構成したものです。

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