- 2026/07/10 掲載
マイクロソフトが本当に伝えたかった…働き方を180度変える「次世代Copilot」の衝撃(2/2)
注目は7つのAIモデルと「初の自社製AI推論モデル」
また興味深いのが、マイクロソフトから新たに7つのMAIモデル(マイクロソフトが自社開発している独自のAIモデルシリーズ)が発表されたことです。中でも注目は、初の自社製AI推論モデルである「MAI-Thinking-1」です。MAI-Thinking-1は、計算コストを抑えた設計になっているほか、マイクロソフトがゼロから商用利用可能なライセンスのデータのみで訓練しています。つまり、他社のAIモデルの出力を学習に使ったり、著作権上グレーなデータを使ったりしていないということです。商用利用時の信頼性を重視した、企業利用を強く意識したモデルと言えます。
そしてMAI-Thinking-1は、AIモデルとして純粋に性能だけを追求するのではなく、コストと実用性のバランスを重視したモデルとして位置付けられているように感じます。もちろん必要な能力は備えていますが、そこがスタートラインなのです。同時に発表されたFrontier Tuningという機能により、利用する企業が自社の業務データを使ってモデルを独自に鍛え上げ、育てていく前提で作られています。
Work IQなどから得られる自社データと組み合わせてチューニングすることで、企業ごとのコンテキストを取り込みながら性能を伸ばしていくことができます。さらに、そのモデルで業務を行った結果がまたMicrosoft 365などにデータとして蓄積されると、モデルをさらにチューニングできます。使い続けることでモデルが成長し続け、自社の業務においてもっとも使いやすいモデルに育てることができるとMicrosoftは主張しています。
なお、これらのモデルは、まずはCopilot Studioなどで作成するエージェントから呼び出せるようになる予定です。
AIエージェント特化の新プラットフォーム「Project Solara」
そして最後に紹介したいのは、マイクロソフトが提案するAI時代の新しいデバイスの形です。Project Solaraと呼ばれるこのプラットフォームは、AIエージェントの利用に最適化されたデバイスを意識して作られたものです。これまでマイクロソフトが提供してきたCopilotなどは、パソコンのアプリ内部にAIが組み込まれているものでした。しかし今後、AIはアプリから飛び出し、さまざまなアプリやサービス、場所を超えて動くと説明しています。そしてエージェントは、その場その場のコンテキストを察して最適な支援を提供するというものです。
このデバイスについては、すでにマイクロソフト社内で利用している従業員がいるとされていますが、今回の発表では製品として登場する具体的なデバイスについて触れられているわけではなく、あくまでもコンセプトを紹介するリファレンスデザインという位置づけに留まっています。時折マイクロソフトはこうした新しいデバイスに挑戦していますが、製品化に至るのか、動向が気になるところです。
マイクロソフトが「本当に伝えたい」こと
今回のMicrosoft Buildの発表を振り返ると、マイクロソフトが伝えたいことが見えてきます。それは、AIモデル単体の性能を競うのではなく、私たちの周辺にあるデータをコンテキストとして整理し、それをAIに渡すことで、私たちそれぞれがAIから得られる利益を最大化しようという考え方です。本連載で扱っているMicrosoft 365 Copilotにおいては、最近のWork IQによる体験の向上は目覚ましく、コンテキストの影響を強く感じているユーザーも多いでしょう。今後は、そうした体験がMicrosoft Scoutのような新しいAutopilotsや、Frontier Tuningで鍛えた独自モデルを通じたエージェントなど、あらゆる場面で味わえるようになるかもしれません。
コンテキストは、一朝一夕に手に入るものではありません。日々Microsoft 365の中で仕事をし、Copilotを使い続け、データを整えていることが、そのままエージェント時代への備えになる。そんな将来を今のマイクロソフトは見据えているようです。
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