- 2026/08/20 06:10 掲載
毎週1on1をしても部下が育たない会社の共通点…“AI時代のマネジメント”とは(2/2)
毎週の1on1は誤り? マネジメントの本質と組織に必要な3つの関係
ピョートル氏:心理的安全性の話をする際、信用の話が出ますが、信用はこれまでにやった結果を客観的に見て判断するものです。「この人に仕事を任せられるか」という、成果に基づいた客観的なものです。
一方で信頼は、さらにその相手と本当に共同協力ができるという、主観的で直感に基づいた気持ちです。「この人に弱さや不確実性を預けられるか」という関係性ですね。そしてさらにその上には、相手が手本(ロールモデル)になり、「この人の判断や姿勢から学びたいと思えるか」という「尊敬」の関係性があります。心理的安全性がベースになければ、信用や信頼、そして尊敬へと移行できず、組織の人間関係が悪循環になってしまいます。
──心理的安全性を担保しつつ、コミュニケーション量を確保しようとした場合、1人のマネージャーが管理できるメンバーの数には限界があるのではないでしょうか。
ピョートル氏:私自身の経験では、継続的に深い対話と育成を行う場合、直属のメンバーが7人前後を超えると、難易度が急に高くなります。ただし、適切な人数は、仕事の複雑さやメンバーの経験によっても異なります。
ただし、多くの日系企業は1on1を誤解して、制度として「1カ月に1時間」や「1週間に30分」と設定しがちですが、毎週30分という形式そのものが、1on1の本質ではありません。相手と1対1で会話ができるかどうかが本質です。
一方で、日常の1対1の会話と、部下のために守られた正式な1on1は、異なる役割を持ちます。資料を一緒に作る時間や移動中の会話も、関係構築や状況把握には重要です。ただし、それだけで、普段は言いにくい懸念や成長上の課題を扱う正式な1on1を代替できるとは限りません。
隣で顔を見ながら一緒に資料を作るのも、移動中に「最近どう?」と雑談をするのも1on1ですし、本当に困っている課題を解決するために部屋で1時間を取って話すのも1on1です。1対1の時間が取れるのであれば人数は関係ないのですが、やはりマネジメントできる人数には事実としての制限があります。
中間管理職は不要になる? AI時代にリーダーがすべきこと
ピョートル氏:経験豊富な人材が多いチームでは、細かなタスク管理は減らせます。しかし、優先順位の調整や意思決定、対立の処理、部門間の連携は依然として必要です。能力が高いことと、自然に同じ方向へ進むことは別です。
通常の組織には、新人もいれば、経験があっても困っている人もいます。変化に伴う不安や葛藤を無視せず、言語化し、仕事として扱える状態を作ることもマネジメントの役割です。今の激しい市場変化やAIの進化を考えると、不要な不安や混乱を減らし、組織内で優先順位が真逆になることを防ぐ役割は、依然として必要です。
──最後に、AI時代に部下を伸ばしたい上司が、明日からすぐに変えられる行動やマインドがあれば教えていただけますか。
ピョートル氏:明日から変えられることは、自分の成果基準や、ここまで培った経験を一度疑ってみることです。この10年間で、リモートワークが普及し、AIが入り、仕事の常識は根本からがらっと変わりました。組織は「上の人がすべての答えを持っている集団」ではなく、「曖昧な状況をどう解決していくかという集団」に変わったのです。
つまり、10年前、20年前の自分の成功体験や、かつて成果を出したやり方が、今の時代には逆に足かせになってしまっている可能性があります。ですから過去の経験を「答え」ではなく「仮説」として扱い、現場で何が変わったのかを聞き直すことが重要です。
「私の時代はこうだった」と答えを渡すのではなく、「私はこう見ているが、現場では何が変わっているのか」と問い直していく。メンバーにAIなどの自動化を使いこなしてもらう前に、まずは「本当に正しい前提で仕事をしようとしているか」を、日常の対話を通じて再定義してもらうことが重要です。
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