- 2026/08/12 06:10 掲載
グーグルやアマゾンと「立場逆転」現実味…NTT「IOWN」が秘める「逆転シナリオ」全貌(2/3)
グーグルと「立場逆転」になる未来があり得る?
この特別な回線の上に、NTTは何を乗せようとしているのか。狙いの1つは、企業のデータセンターと、アマゾンやマイクロソフト、オラクル、グーグルなどが提供するクラウド基盤を、高速・低遅延の光ネットワークで接続することにある。普通のインターネットは、いくつもの中継地点を経由して、そのたびに行き先を確認しながら情報を送る、いわば「遠回り」な仕組みだ。この新しい方式は、光の道そのものを1本の専用線のように扱い、目的地まで一直線に結ぶ。
これが実現すれば、1つの会社が莫大なお金をかけて巨大なデータセンターを1カ所に建てる必要性も薄れる。あちこちに分かれた拠点を光でつなげば、まるで1つの大きな施設のように使えるからだ。この構想はNTT自身が「データセンタインターネット」と表現している 。
企業からすれば、自分のデータセンターをこの回線につなぐだけで、世界中のクラウドと速く途切れなく結ばれる。裏を返せば、グーグルもアマゾンも、NTTが作ったこの巨大な光の網の中で動く、「1つの部品」のように位置付けられ得るということだ。NTT自身は「データセンタインターネット」構想の中で、クラウド事業者を光ネットワークの接続先に据える構想を示すにとどめているが、比喩的に言えば、グーグルをNTTの光ネットワークという「土俵」に乗せる構図も想定できる。
それなのになぜグーグルが「スポンサー会員」なのか
もっともグーグルが黙って組み敷かれるはずがなく、巻き返しを図る。まず、自社が持つAIの技術を電力の系統運用機関に直接提供し、発電設備などの系統接続申請の審査や計画を迅速化する。2025年4月には、アルファベット傘下のTapestryがGoogle CloudやGoogle DeepMindの技術を活用し、北米最大の系統運用機関(RTO)であるPJM Interconnectionと提携し、約6700万人が暮らす地域における発電設備の系統接続プロセスの最適化に乗り出した。
次に、自社で開発した通信機器や30本を超える海底ケーブルへの投資によって、外部の通信会社への依存を極力減らし、データセンター同士をつなぐ体制を築いている。調査会社Semi Analysisは、グーグル独自のネットワークについて、アマゾンやマイクロソフトなどが用いる標準的な構成と比べ、少なくとも30億ドルも安く済ませていると推計している。AIの学習に使う64個のTPUチップから成るキューブの構成を、わずか10秒で組み替え直したというから、その身のこなしは尋常ではない。
それでいてグーグルは、2024年にNTTが率いる国際団体のスポンサー会員として名を連ねてもいる。自分たちの網を築きながら、相手の陣営にも足を残しておくような、この一見矛盾した振る舞いは、グーグルが次の時代における通信の標準の行方を見極め、将来の選択肢を確保しようとしていると読むこともできるのではないだろうか。 【次ページ】NTTへの対抗策?グーグルが仕掛ける「3つの動き」
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