- 2026/08/20 18:00 掲載
政府の生成AI「源内」、約18万人を対象に大規模実証 地方自治体でも活用始まる
文章作成や翻訳のほか、国会答弁の草案作成機能も順次提供
源内の実証実験は段階的に進められてきた。2026年5月から全府省庁の職員約18万人を対象とする大規模実証が始まり、5月29日時点では約10万人が利用できる環境が整えられていた。その後も対象府省庁や職員へのアカウント配布が順次進められており、政府は2026年度中に全府省庁の約18万人が利用可能となる環境を整備する計画だ。8月に新たに18万人規模の実証が始まったわけではなく、5月から始まった大規模実証の利用範囲を段階的に広げている。
源内には、日常的な文章作成や要約、校正、翻訳などの基本機能に加え、行政実務に特化したAIアプリケーションも多数組み込まれている。法令データを参照しながら法制度に関する調査を支援する機能や、過去の国会会議録などから答弁を検索する機能などが提供されている。
さらに政府は、国会議員からの質問内容を分析し、過去の国会会議録などをもとに答弁案の作成を支援するAIの開発も進めている。こうした生成AIの出力をそのまま行政判断に利用するのではなく、担当職員が一次資料などにあたって内容を確認し、最終的な確認や決裁を人間が行う運用を前提としている。生成AIによる誤情報や不整合のリスクを抑えながら、行政実務の効率化につなげる狙いだ。
生成AIの活用は中央省庁の枠を超え、地方自治体にも広がり始めている。デジタル庁は2026年4月、源内を構成するシステムの一部を商用利用も可能なオープンソースソフトウェアとして公開した。これを受け、各地域で同様の仕組みを行政業務に活用する動きが出ている。
福岡県宮若市では源内の仕組みを活用し、職員間のナレッジ共有や人事異動時の業務引き継ぎなどを効率化するための実証実験を進めている。自治体での活用はまだ検証段階にあるものの、中央省庁で培った生成AIの仕組みを地方行政へ展開する試みが始まっている。
また、災害対応での活用も進められている。政府は大規模災害の発生を受け、被災自治体や関係自治体などに源内を緊急提供する取り組みを実施している。情報整理や文書作成など職員の負担が急増する災害時に、生成AIが行政業務をどこまで支援できるかについても検証が進んでいる。
源内では現在、Anthropicの「Claude」やAmazonの「Nova」など複数の生成AIモデルを利用できる。一方、政府は日本語への適合性や国内の文化・価値観への対応などを重視し、2026年度に国内企業が開発した複数の国産基盤モデルを源内上で試用する計画も進めている。
対象にはNTTデータの「tsuzumi 2」や富士通の「Takane 32B」、Preferred Networksの「PLaMo 2.0 Prime」などが含まれ、行政実務での性能や使いやすさ、安全性などを評価する。政府は実証を通じて各モデルの実務への適合性を検証し、その結果を2027年度以降の本格利用や調達の判断材料とする方針だ。
行政機関自らが大規模に生成AIを導入し、実務を通じて有効性や課題を検証する源内の取り組みは、日本の行政DXを占う重要な試金石となる。中央省庁から地方自治体、さらには災害対応へと活用領域が広がる中、生成AIをどこまで安全かつ実用的に行政業務へ組み込めるかが今後の焦点となる。
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