- 2026/09/10 17:50 掲載
アップル新CEO、25年前の「ジョブズ戦略」復活へ…AI時代もiPhoneを「ハブ」に
ジョン・ターナスCEOも同日の基調講演で、iPhoneをAI時代の中核に据える姿勢を鮮明にした。高性能なプロセッサ、ネットワーク接続、大型ディスプレイ、高品質なカメラやマイク、長時間駆動、さらにほかの端末やアプリとの連携。そうした条件を備える端末としてiPhoneを挙げ、「インテリジェントなパーソナルハブ」に最も適した製品だとの考えを示している。アップルは同日のイベントでiPhone Duoのほか、iPhone 18 Proなどを発表した。
この「ハブ」という言葉は、アップルにとってまったく新しいものではない。
2001年当時、スティーブ・ジョブズ氏が率いていたアップルは、Macをデジタル機器の中心に据える「デジタルハブ(Digital Hub)戦略」を進めていた。2002年1月の公式発表でも、Mac OS Xを「アップルのデジタルハブ戦略の中心」と明記。デジタル写真や動画、音楽などをMacで作成、編集、保存、共有する構想を描いていた。
その象徴の1つがiPodだ。アップルは2001年10月にiPodを発表し、Macへ接続するとiTunesの楽曲やプレイリストを自動的に転送、更新する「Auto-Sync」を搭載した。iPod単体だけで完結させるのではなく、Macを中心としてデジタル機器を結び付ける仕組みだった。
現在と違うのは、中心に据える製品と、そこへ集約する対象だ。25年前はMacを中心に音楽や写真、動画、デジタル機器を結び付けた。現在はiPhoneを中心に、AIと利用者の個人的な文脈、アプリ、サービス、ほかのアップル製品を結び付けようとしている。
米テッククランチの報道によると、こうしたターナス氏の戦略は、ジョブズ氏が約25年前に展開したデジタルハブ戦略を復活させる動きとみることができるという。
もっとも、単なる過去の戦略の焼き直しではない。今回アップルが強調するのは、AIが利用者の情報を理解するからこそ、常に持ち歩くiPhoneの価値が高まるという考え方だ。iPhone DuoではSiri AIがメッセージ、メール、写真などを横断し、必要な情報を探したり、画面上の内容を理解して操作したりする機能を盛り込んだ。処理についても、可能な場合は端末上で実行するなど、プライバシーとセキュリティを戦略の中核に据える。
ターナス氏と約25年前の戦略には、もう1つ接点がある。同氏がアップルに入社したのは2001年だ。その後、ハードウェアエンジニアリング部門を率い、iPhone、Mac、iPad、AirPodsなど幅広い製品開発に携わってきた。
アップルは4月20日、ターナス氏が9月1日付でCEOに就任し、ティム・クック氏がエグゼクティブ・チェアマンに移る人事を発表した。取締役会が全会一致で承認した長期的な後継者育成計画に基づく人事だとしている。
アップルが再び「ハブ」という発想を持ち出したことは、ターナス体制の製品戦略を読み解く重要な手掛かりになりそうだ。
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