- 会員限定
- 2026/11/04 07:55 掲載
AIに「目的」を伝えるだけで業務が進む、オラクルCEOが描く企業システムの未来
Oracle AI World 2026 マイク・シシリア氏基調講演レポート
ソフトを操作する時代から、目的を伝える時代へ
2026年10月26日、米ラスベガスで開催された年次イベント「Oracle AI World 2026」で、オラクルのマイク・シシリアCEOは、AIを企業の実務にどう結び付けるかをテーマに基調講演を行った。焦点となったのは、AIの賢さそのものよりも、人とソフトウェアの関係を変えることだった。従来の企業システムは取引の電子化や業務の自動化を進めてきた。一方で、働く人には、どのアプリケーションを開き、情報をどこで探し、誰に承認を求めるかを覚える負担が残った。シシリア氏は、こうしたソフトウェアを中心とする仕事の組み立て方を問い直した。
同氏が描くのは、利用者が達成したい目的を伝えれば、システムが業務を理解し、実行方法を導き出す姿だ。人が複数の画面を切り替えて問題を探すのを待つのではなく、AIが状況を捉え、必要な対応を予測して仕事を前に進めるという。
ただし、その実現には4つの条件がある。適切な権限の下で企業データへアクセスできること、データの意味やシステム間の関係を理解できること、大規模なAI処理を適切なコストで支えるインフラがあること、そしてAIが実際のアプリケーションや業務プロセスの中で働くことだ。
データの関係を業務の文脈として表す仕組みを、同氏はオントロジーと説明した。オラクルは、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)、Oracle AI Database、Oracle AI Data Platform、業務アプリケーションを組み合わせ、これら4つの条件を満たすという。AIを単独で追加するのではなく、企業の業務を支える基盤全体へ組み込む戦略である。
積載率61%から88%へ、物流デモの中身
この構想を具体化したのが、Fusionアプリケーション開発を統括するクリス・レオーネ氏による物流デモだ。狙いは、コストや輸送能力の制約を守りながら、期限内に出荷すること。AIは需要に関するリスクや積み荷の統合案などを提示し、担当者が対応を判断する流れを示した。さらに複雑な計画には、ガバナンスを備えたエージェント実行環境「Oracle Fusion Claw」を使う。サプライチェーン担当者の役割を与えて積載計画の最適化を指示すると、注文、出荷、設備、日程などの条件を考慮し、実行計画を作るという。
デモでは、トラックの積載率を61%から88%へ引き上げ、貨物の輸送を16件減らす案が示された。ただし、これらは講演中のシナリオに基づく数値であり、導入企業の実測成果や、すべての顧客に保証される改善率ではない。
注目点は、計画を提案して終わらないことだ。承認後にはシステムの現在の状態を改めて確認し、実行に移る。さらに、どの処理を行い、どの手順に従ったかを記録し、結果を確認できるようにする。AIへ任せる範囲を広げるほど、後から説明できる仕組みが必要になる。
同じセッションでは、利用者の目的に応じて処理を振り分ける「Oracle Fusion Companion」も紹介された。対応する外部AIツールや新たなホーム画面を入口に、取引、承認、AIエージェントなどを組み合わせる。人が使うアプリケーションを選んで操作するのではなく、達成したい目的を伝える。物流デモは、その変化を具体的に見せた。
ERP・基幹システムのおすすめコンテンツ
ERP・基幹システムの関連コンテンツ
PR
PR
PR