• 2010/03/12 掲載

【ベンチマーキング基礎講座(3)】ベンチマーキングの意義

ICG国際コンサルタンツグループ会長 髙梨智弘氏

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今回は、第2回で解説した「ベンチマーキングの目的」を、もう少しかみ砕いて説明したい。おもにベンチマーキングの(1)定義、(2)効果について解説する。

髙梨智弘

髙梨智弘

T&T PARTNERS会長
ICG国際コンサルタンツグループ会長
(株)日本総合研究所 フェロー
新潟大学大学院技術経営研究科特任教授
公認会計士

ベンチマーキングの定義

 本連載の第1回に、「中小企業が社会的存在であり、利害関係者の価値創造のために、自らも利益を享受しながら継続的に存在する実体である」とし、そのためには、「当然ながら経営環境の変化に対応し続け、大企業に負けず劣らずの持続的成長(Sustainable Growth)をなし遂げる必要な改善・改革を実行する」ことこそ、経営者の責任でありベンチマーキングの意義であることを述べた。

 従って、上記の意義を達成するためには、次のような定義が必要である。
「ベンチマーキングとは、利害関係者価値(主として顧客価値)を創造し業績を上げるため、業界内外の優れた業務方法(ベストプラクティス)と自社の業務方法を比較し、現行プロセスとのギャップを分析し、知(知識・知恵・知心)(注1)を結集して自社にあったベストプラクティスを導入・実現することにより現行の業務プロセスを飛躍的に改善・改革する、体系的で前向きな経営変革手法である。」
(出典:髙梨智弘『知の経営 ~透き通った組織~』、白桃書房、2009)

注1:知とは、知識・知恵・知心(注2)の総合的概念です。
注2:知心とは、知識・知恵ではカバーできない、社内での人の心や意識にかかる概念です。たとえば、職位、業務などに対する意識や、上司、部下、同僚、取引先などとの関係、等々に影響される人のモチベーションや満足度、また熱意などを意味します。
 つまり、中小企業が、社会的存在たり得るためには、環境が変化し競争が続く現代の「知の社会」で、持続的成長を達成しなければならない。そのために企業は、生産性を向上させ、改善をし続けることが社会から要請されている。

 改善の種は、特に中小企業において、社内の知だけでは遠からず尽きるか、または競争相手に追いつかないことになる。そこで、社外の知(業界トップ企業、コンサルタント、専門家、業界外のベストプラクティスなど)に学ぶことができれば、それに越したことはない。特に中小企業にはそうであったが、他社に良い方法があれば、他社を参考にするのは、元々日本のお家芸でもあった。

 良い方法であれば、業界内外の企業・組織団体・行政・病院・大学等々どこから学んでも構わない。要は中小企業にとって、有効な方法かどうかを見極めることである。この基本的な考え方について、目的を明確にし、実行方法をプロセス化し、要点をまとめた経営手法が、上述の定義で示したベンチマーキングである。

 良い事例は、悪い業務と比較すれば直ぐ分かる。しかし、良い事例を知らなければ、その業務は効率の悪いままである。従って、良い事例を知ることがまず重要である。「世の中には、自分達のやり方より効率的なやり方がたくさんある」ことを理解すべきだ。ベターからベストまで、良い事例は、あらゆる業務に存在している。通常、それらをベストプラクティスと称している。それらは、企業の大小や業務の規模にかかわらない。また、業界外のベストプラクティスも、商品は違っても、プロセス自体(研究開発プロセス、営業プロセス、経理プロセス等々)は類似しており、自社の改善・改革に参考となる。

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