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  • 2010/05/07 掲載

顧客に採用される「提案」を行う3つのコツ:新規案件を獲得する運用管理ケーススタディ(5)

「シナリオ4(PREP法)」「具数一」「メラビアンの法則」

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前回は「解決策の提示」について、誰に対してどのテーマの解決策をどのように提示したらよいか、そのコツについてお話しました。しかし、情報システムのように、高価な上に、目に見えず、失敗するリスクの大きい商品・サービスの場合は、提案がいかに優れたものであっても、すんなりと受け入れられることのほうが少ないものです。そこで、今回は顧客に採用されやすい「提案のコツ」をご紹介するとともに、「シナリオ4(PREP法)」や「具数一(ぐーすーひー)」など、すぐに使えるテクニックについても言及していきます。

トーマツ イノベーション 安達裕哉、磯上直人

トーマツ イノベーション 安達裕哉、磯上直人


安達裕哉
トーマツ イノベーション
シニアマネジャー
筑波大学大学院環境科学研究科修了後、大手コンサルティング会社を経てトーマツ イノベーション株式会社に入社。現在、主としてIT業界を対象にプロジェクトマネジメント、人事・教育制度構築などのコンサルティングに従事する。そのほかにもCOBIT、ITサービスマネジメント、情報セキュリティにおいても専門領域を持ち、コンサルティングをはじめとして、企業内研修・セミナー活動を積極的に行う。
磯上直人
トーマツ イノベーション
シニアコンサルタント
東京大学理学系研究科生物化学専攻修了。日本電気に入社。製造業のシステム開発業務に従事。その後、トーマツイノベーションに入社。現在、IT業界を対象にプロジェクトマネジメント、情報技術戦略などのテーマのコンサルティングに従事。

 今回は、顧客に採用される「提案」を行ううえでぜひ実践して欲しい3つのコツをご紹介します (図1)。

photo

コツ1 階段のある「提案ストーリー」

 皆さんが、デパートのアパレルショップに買い物に行ったときのことを想像してください。フロアに入った瞬間に近寄ってくる販売員。こちらの要望を聞かずに、一方的に流行の服を勧めてくる。何着か試着しようとすると、全部「お似合いですね」という。皆さんは「店が売りたいものを売り込まれている」と感じ、機を見て、フロアから立ち去ろうとするのではないでしょうか。

 これに対して、接客の上手な販売員なら、以下のようにするでしょう。
  1. さりげなく顧客の視線や行動を注意深く観察して、どのような商品を探しているのかを知る。
  2. 顧客の容姿や服装などから好みを推測し、その時点での流行も加味しつつ、何点かおすすめの商品を考えておく。
  3. 顧客が助けを望んでいる素振りを見せたら、さりげなく声をかける。その際は、いきなり特定の商品を勧めるのではなく、探している商品のイメージや用途、予算などを聞く。
  4. 要望通りのものがあれば勧める。要望が漠然としていれば、あらかじめ考えておいた商品を見せて反応を見て要望を具体化していく。

 扱う商品の特性は異なりますが、こうした「提案のコツ」は情報システムはじめあらゆる商材の場合でも通用します。

 中でもITエンジニアは、顧客の要望を聴かずに、つい特定の製品や技術の説明をしがちですが、それでは冒頭の「売り込む」店員と同じです。以下のように言葉を置き換えてみましょう。

(店に入ってくる=提案の機会を得ている、と仮定すると、)
  1. 顧客の行動(つまりビジネスの状況)を注意深く観察、あるいはヒアリングする。
  2. 顧客の投資動向などを聞き、経営者や担当者の好みを知る
  3. 課題に関して、顧客の要望を聴く。
  4. 同上

 この際のポイントは、「○○がしたい」、「○○という機能が欲しい」という要望だけでなく、その「要望の背景」を確認することです。要望の背後にある意図を理解できれば、より良い解決策を提案することもできます。

 そして提案の段階に移りますが、まず顧客との信頼関係が不十分な段階では大きな提案は避けるようにしましょう。情報システムのように価格が高く、失敗リスクの大きい商品の購入は、顧客の心理的な壁が大きいためです。そこで、最初に低価格・低リスクの提案をし、とにかく「成功事例」を作ることが肝心です。こうして、徐々に提案の規模を大きくしていくというのが、「階段のある『提案ストーリー』」です(図2)。

photo

 では、最初はどのような提案をしたらよいのでしょうか。今、最もおすすめなのは「コストダウン」です。これは、たとえば運用現場の労力を軽減したり、所要時間の長い作業を短縮したりする施策です。金融危機以降、「7割経済」とも「8割経済」とも言われ、景気回復後もピーク時の水準へはなかなか回復しないだろうといわれ、伸びない売り上げのなかで、いかに純利益を確保するかが企業経営の大きな課題となっています。売り上げが伸ばせないとなれば、費用を削る(=コストダウン)しかありません。したがって、まずはコストダウンの効果が見込める規模の小さい提案を行い、コストダウンの実績を作るのが良いでしょう。

【次ページ】 提案力を付けるテクニック「シナリオ4」「具数一」「メラビアンの法則」

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