• 2011/02/02 掲載

【民主党藤末氏コラム】ベンチャー育成のために政府ができること?それは「SBIRを機能させる」こと! 第3回(3/4)

連載『ふじすえ健三のビジネス+IT潮流』 

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米国SBIRの「3段階選抜方式」

 筆者は、日本版SBIRの抜本的拡充を図るべきだと考えている。そのポイントは「企業の多段階選抜」の実施である。

アメリカのSBIRは以下のように3段階になっている。

 ・フェイズⅠ(F/S):10万ドル、6~12ヵ月(倍率約6倍)
 ・フェイズⅡ(R&D):75万ドル、2年程度(倍率約3倍)
 ・フェイズⅢ(商業化):政府調達又は民間VCへ紹介

 アーリーステージ期のシーズ技術に対して10万ドル規模のフィージビリティ調査(F/S)に対する支援を行い、技術の可能性を探る。次にF/Sの結果に基づき研究開発段階(フェイズⅡ)に入るプロジェクトが選抜される。そしてフェイズⅢにおいては作られた製品やサービスを政府が自ら調達していく。また、政府が調達できない場合は政府の保証で民間VC投資につなげていくのである。

このように不確かなシーズ・アイデアを段階的に選抜して商品化までつなげていく。これが非常に効果的なベンチャー支援につながっている。

 アメリカのSBIRは11機関で2000億円程度(2006年)、一方、日本では7省庁で約400億円(2008年)となっており金額的には遜色がない。
しかしながら、わが国では、多段階型の選別になっていない。

 アメリカのSBRIはすべて三段階の選別になっているが、日本7省庁のSBIR予算400億円のうち多段階選抜型のものは20億円以下であり、なんと米の1/100となっている!
注:アメリカでは、年間外部研究開発予算が1億ドル以上の省庁にSBIRへの参加を義務化。11省庁:農務省、商務省、国防総省、教育省、エネルギー省、国土安全保障省、運輸省、保健福祉省、環境庁、航空宇宙局、全米科学財団
日本の7省庁:総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省。


 筆者が見たところ、日本版SBIRは「既存の中小企業研究プロジェクトをSBIRにカウントしているだけ」に見える。実際に日本版SBIRの成果が整理されているサイトを見ると、様々な著名ベンチャー企業も名前が挙がっているが、アメリカに比べるとやはり見劣りがする。

 例えば、アメリカのSBRIを受けた企業を見ると『全米バイオ製薬企業トップ10中の7社(2000年時点)』が資金不足の創業初期にSBIRを受けている。
具体的には、バイオ製薬企業2000年売上高全米トップ10のうちAmgen、Genzyme General、Immunex、Chiron、Millennium Pharmaceuticles、Biogen、Gilead Sciencesの7社がSBIRを活用しており、SBIRを受けていないのはGenentech、Serono、MedImmuneの3社だけとなっていた。

 また、新エネルギー関係でも以下のような急成長するベンチャー企業を多数発掘している。

PowerLight:大規模太陽光発電所建設
Fuel Cell Energy:高温型燃料電池
Konarka Technologies:有機薄膜太陽電池
Spire:熱電発電素子

これらの企業もグリーンニューディールの下で急成長している。

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