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- 2012/01/17 掲載
日本企業、BoPビジネスに3つの課題
レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama
将来のMoP層に対する継続的アプローチのために何をすべきか
BoP市場とは、世界人口の72%に相当する約40億人を対象とした、所得総額5兆ドルにものぼる巨大市場だ。一般にBoP層に属する人々の年間所得は一人当たり3000ドル未満と定義されており、新興国でも人口の大半は、依然としてBoP層によって占められている。BoPビジネスは、このBoP層をターゲットにして、「将来に向けたイノベーションや新しい市場の創出を狙いとして始まった」(野村総合研究所 経営コンサルティング部 副主任コンサルタント 津崎直也氏)。それではなぜ今、日本企業がBoPビジネスに取り組まなければならないのか。その理由として挙げられるのが、今後100年にわたる継続的な国内人口の減少だ。
総務省 国立社会保障・人口問題研究所の推計データによれば、1905年時点で約5000万人だった日本の人口はこれまでの100年間で約8000万人増加し、2005年にピークを迎えた。しかし今後の100年で約8000万人減少し、2105年には100年前と同じ約5000万人程度になることが予想されている。
こうした日本の人口動態を受けて、現在の日本の企業は「国内で海外の人材を活用する“内なるグローバル化”を図るか、あるいは新興国などへ進出していく“外へのグローバル化”を図るかの選択を迫られている」(津崎氏)状況にある。
野村総合研究所はこのうち“外へのグローバル化”に焦点を当て、今後世界市場がどのように変化するのかを予測した。予測によれば、2005年を起点とした2030年までの25年間で、35.2億人がBoP層からMoP(Middle of the economic Pyramid:中所得)層へと移行し、2030年時点でのMoP層は約55億人、家計支出総額は71.6兆ドルに達するという。
この試算に基づけば、2030年時点でMoP層を構成する実に約64%がBoP層から上がっていくことになる。今からBoPビジネスに取り組むことは、すなわち将来のMoP層に対して継続的にアプローチすることにつながるわけだ。
「日本企業が今、BoPビジネスに取り組む意味は、まさにこの点にある」(津崎氏)。
【次ページ】日本企業のBoPビジネスが乗り越えるべき3つの課題
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