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  • 2012/06/19

NTTドコモ 西川清二執行役員:競合の新サービスに即対応できる「基幹システム大構造改革」

ルールエンジン採用で抜本改革

2012年7月で営業開始からちょうど20年めの節目を迎えるNTTドコモ。2012年3月期の決算では、グループ全体での営業収益が4兆2400億円、営業利益が8,745億円となり、8期ぶりに増収増益を達成した。2010年12月にサービスを開始したLTE採用の高速データ通信サービス「Xi(クロッシィ)」の契約者数も約220万と順調に推移している。同社では早い時期から様々な情報システムを稼働させていたが、激化するサービス競争により迅速に対応していくため、基幹システムの大々的な構造改革を実施した。その際の情報システム戦略とはどのようなものだったのか。NTTドコモ 執行役員 情報システム部長の西川清二氏が語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

第一の目的は、グループ全体の経営状態をリアルタイムに把握すること

 ドコモグループの情報システムは、顧客向けシステムと社内向けシステムの2つに大別される。前者には顧客管理システム「ALADIN」や料金明細システム「MoBills」があり、後者には「DiSH」と呼ばれるイントラネット上に構築された基幹情報システム「DREAMS」がある。この他にもDREAMSからのデータを分析/処理するためのデータウェアハウスなどが稼働しており、ドコモショップにはALADIN端末が、社員個々の机にはDREAMS端末が設置されている。

 富士通フォーラム2012で登壇したNTTドコモ 執行役員 情報システム部長の西川清二氏は、「これらすべての情報システムは、グループ全体の経営状態をリアルタイムに把握することを目的とした“リアルタイムマネジメント”という基本理念のもとで構築したもの」と説明する。

 というのも、これまでのシステムでは、発生した取引、それに関するデータの入力、入力されたデータ処理の各々がまったく連動しておらず、ある取引が発生していても、それが今、どんな状況にあるのかを正確に把握することができなかったという。

「これに対してあるべき業務形態は、実際の取引/データ入力/データ処理が完全に連動していること、言い換えれば、業務/お金/モノの流れとデータの流れが一致していることだ。これによって現実の経営の姿をリアルタイムに把握することが可能となる。」

 参考までに同グループ全体のシステム規模は、クライアント側が全国で約3380拠点、端末数が11万5000台、サーバ側はメインフレームすべてをオープンシステムに置き換えており、UNIXサーバ/IAサーバを中心に約2760台、ディスク容量は12ペタバイト/月となっている。

激烈な競争環境に対応するため、開発効率を上げるための構造改革に着手

 それでは実際の構造改革について、本稿では顧客管理システムのALADIN(=All Around Docomo INformation system)に焦点を当てて、その取り組みを紹介する。

 ユーザーがドコモショップで契約を申し込む際、ショップスタッフはサービスオーダーを聞いて顧客情報の入力や与信チェックなどを行い、一方で端末在庫を引き落とし、販売数をカウントアップする、といった作業を行う。

 ユーザーがあるサービスを申し込むと、セットで申し込みが必要となるサービスや廃止しなければならないサービスもあるが、ALADINでは、入力が必要な項目をスタッフに順次提示するヒューマンマシンインタフェース(=入力画面)を提供することで、ユーザーからのオーダーを簡単に、もれなく、矛盾無く入力できる環境を実現している。

 実はこのALADINは1997年に構築されて既に全国導入が完了しており、以前からドコモでは、全国のどのショップで、どんな機種が何台売れたのか、といったデータをリアルタイムで把握することができるようになっていた。

「ALADINについてはこの仕組みだけで、経営の見える化はほぼ完成していたといえる。しかし激烈な競争環境を勝ち抜くという観点から見た時に、色々な問題点が出てきた。」

 その筆頭に挙げられるのが、アプリケーション開発規模の増大だ。ドコモでは第2世代の携帯電話サービスであるmovaを皮切りに、その後もPHSやFOMAといった契約種別を追加し、それに伴って新サービスや新料金プランの設定、あるいは販売チャネルの拡大や販売方法の変更などを行ってきた。

 こうしたビジネス側の変化に対応するため、システム側にも営業開始からの14年間で約8000件の開発項目が発生することとなり、アプリケーションの母体規模はサービス開始当初の1.6メガステップから23.7メガステップへと約15倍にまで拡大した。

 この背景にあったのが、手っ取り早くシステムを開発するために、最初に作られたmovaのアプリケーションをコピー/改造して、PHSやFOMAといった新たな契約種別のアプリケーションを作る、という開発手法だ。契約種別に共通のサービスを処理するためのアプリケーションも、ビジネスロジックはまったく同じにも関わらず、契約種別ごとに用意する必要があった。

「その結果、新サービスや新料金プラン用のシステムを開発するための期間が大幅に増加してしまうという、企業競争上、致命的な弊害が現れてきた。」

 これらは料金明細システムのMoBillsでも同様に課題となっていた。そこでドコモでは、将来を見据えて両システムの構造改革を決断、まず2004年にMoBillsから着手し、3年でサービスを開始、続いてALADINに着手、2010年10月から新システムでのサービスを開始した。

【次ページ】競合他社の新サービスにも即座に対応できるシステム

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