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  • 2013/07/03 掲載

ミサワホーム宮本眞一氏:クラウドへの全面移行を決断、いかに経営や現場を説得したか

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過去10年間にわたってシステム投資を抑制していたミサワホームだが、業績回復基調に乗り、ついに反転攻勢の狼煙を上げた。2012年にユーザー部門とシステム部門の混成チームによる「システム整備プロジェクト」を発足。これまでグループ各社でサイロ化していたシステムをクラウドに全面移行して一元化していくという基本方針のもと、2014年上半期には社内データセンターを廃止するという不退転の決意で臨んでいる。

フリージャーナリスト 小山 健治

フリージャーナリスト 小山 健治

1961年生まれ。システムエンジニア、編集プロダクションでのディレクターを経て、1994年よりフリーランスのジャーナリスト、コピーライター。企業情報システム、BI、ビッグデータ、IT関連マーケティング、ストレージなどの分野を中心に活動中。著書に、「図解 情報・コンピュータ業界」(東洋経済新報社)、「One to One:インターネット時代の超マーケティング」(IDL)、「CRMからCREへ」(日本能率協会マジメントセンター)などがある。

10年ぶりに本格的なシステム投資を復活

photo
ミサワホーム
企画管理本部
情報システム部
部長
宮本 眞一 氏
 長期にわたる低迷から脱却し、リフォーム事業の好調などで業績を復活させているミサワホームは、2012年に全社システムの再構築に向けた取り組みを開始した。

 2000年問題以降、同社は約10年にわたってシステム投資を抑制してきたこともあり、主要業務を支えるあらゆるシステムに更新時期が到来していた。そうした中で、各地の販売会社や工場などのグループ会社も、それぞれ独自にIT投資を再開しようとしていたのである。

 このままでは、グループ間で連携のとれないサイロ化したシステムが乱立し、重複投資による巨額の無駄が発生してしまうことになる。その意味でも2012年は、同社にとってギリギリのタイミングだった。

 こうして発足したのが、ユーザー部門とシステム部門の混成による「システム整備プロジェクト」であり、グループ全体のIT戦略をそこで策定していくことになった。

 AWS Summit Tokyo 2013で講演を行った同社 企画管理本部 情報システム部の部長を務める宮本眞一氏は、同プロジェクトの基本コンセプトを次のように語る。

「経営層から要請を受けたのは、『事業ポートフォリオの多様化を支援するシステムの構築』、『従来のような人間系のルールに縛った対策ではなく、システム面からの支援によるコンプライアンス強化』、『間接業務をシェアードサービス化することによる販売管理費の削減』の3つです。これに応えるためプロジェクトでは、『グループ内のシステムを一元化して総コストを削減する』、『ITコストをできるだけ変動費化し、コア以外の業務をアウトソースしていく』、『コンシューマーITを取り込み、モバイル対応を進めていく』というテーマを掲げました。」

 そして、この目標を完遂するために同社が打ち出したのが、クラウドを積極的に活用したシステム構築への方針転換である。「周回遅れからトップランナーへの巻き返しを図る、千載一遇のチャンス」(宮本氏)という決意で、そこに臨んでいる。

主要アプリケーションのすべてをクラウドへ移行

 同社は次のような業務アプリケーションをリストアップし、そのすべてをクラウド上で運用していくことを決定した。主なシステムは以下の通り。

  1. グループウェア/メール:Google Apps / Gmail
  2. 販売店業務管理:自社開発 + NEC
  3. 顧客管理(営業支援SFA):eセールスマネージャー + AWS
  4. 人事情報システム/ ID一元管理:COMPANY + AWS
  5. ワークフロー(電子承認):intra-mart + AWS
  6. 仮想デスクトップ(シンクライアント):自社開発 + NEC
  7. イメージデータ/文書管理システム:AWS
  8. BI:DataStudio@Web + SybaseIQ + AWS
  9. グループ統一会計(2013年8月予定):Bizインテグラル + AWS
  10. 受発注・在庫管理(2014年5月予定):IFS Applications + NEC

 「2014年上期には、ミサワホームの社内データセンターは閉鎖する予定」(宮本氏)という退路を断った取り組みに、同社の“本気度”を感じることができる。

 実際に上記のアプリケーションの移行は、どのように行われているのだろうか。一例として、グループウェア/メールの取り組みについて見てみよう。

【次ページ】さまざまな“抵抗勢力”にどう対応するか

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