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  • 2013/07/22 掲載

野村證券 国内IT戦略部長が語る、8000台のタブレット導入の成果、次は企業内SNS活用へ

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国内最大手の野村證券は、「コンサルティング営業の強化」を経営方針とする中で2012年7月、競合他社に“先手を打つ”形で、全国のリテール営業担当者約8,000人を対象にタブレットの導入を決定した。それから1年が経過した現在、同社は一連の取り組みからどんな成果を掴んだのだろうか。同社はさらに次の一手として、企業内SNSであるセールスフォース社の「Chatter」の導入実験も開始している。

フリージャーナリスト 小山 健治

フリージャーナリスト 小山 健治

1961年生まれ。システムエンジニア、編集プロダクションでのディレクターを経て、1994年よりフリーランスのジャーナリスト、コピーライター。企業情報システム、BI、ビッグデータ、IT関連マーケティング、ストレージなどの分野を中心に活動中。著書に、「図解 情報・コンピュータ業界」(東洋経済新報社)、「One to One:インターネット時代の超マーケティング」(IDL)、「CRMからCREへ」(日本能率協会マジメントセンター)などがある。

タブレットは必ず営業の役に立つと直感した

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野村證券
国内IT戦略部長
藤井公房氏
 現在、野村證券の営業部門は、全国177の本支店をはじめインターネットやコールセンターでサービスを提供しており、2013年4月末における顧客資産残高は90.3兆円、残あり顧客口座数は503万口座に達している。

 こうした営業部門の強化は、同社にとってまさに永遠のテーマであり、競合他社に“先手を打つ”形で2012年7月、全国のリテール部門の営業担当者約8,000人を対象にタブレットの本格導入を決定した。

 ガートナー主催の「セキュリティ&リスク・マネジメント サミット2013」に登壇した野村證券 国内IT戦略部長の藤井公房氏は、その旗振り役を務めてきた人物だ。

 もともと営業企画担当や支店長として、営業の最前線から無謀とも思えるシステム改善要求を次々に突き付け、丁々発止のやりとりを繰り広げてきた藤井氏が、それまでの“敵方”であったIT部門に異動したのは2007年のこと。「アウェイの闘いの中で、IT統制や大規模システム更改、システム障害、資格試験などの課題に取り組んできました」と振り返る。

 その一環として2010年4月に着手したのが、8,000台のタブレット導入につながるタブレット端末導入プロジェクトである。わずか22台のタブレットの試験導入というスモールスタートだったが、当初から営業社員の活用を主眼に企画された。

 「証券会社の営業部門には、お客さまからの問い合わせに素早く答える“すし職人”のような手際の良さが求められるのです。これまでポケベル、電子手帳、PHS、iモード携帯電話、ノートPCなどさまざまな携帯端末を使ってきた経験から、起動が速くバッテリー駆動時間も比較的長いタブレットは、必ず営業の役に立つと直感しました」という藤井氏の判断は、まさに営業の勘所を知り抜いた人物ならではの感度と言えそうだ。

 こうしてインフォテリアのコンテンツ配信・共有サービス「Handbook」とともに導入されたタブレットは、大きく「顧客とのコミュニケーション」、「外出先での情報収集(株価、チャート、ニュースなど)」、「業務効率のアップ(地図で迷わない経路検索、ネット検索など)」の3つのポイントで有用性を確認するに至った。

IT部門のあるべき姿への反省と目指したシステム

 ただし、約8,000台という大規模展開を図るにあたっては、スモールスタートした時点とはまったく違った苦労に直面することになる。藤井氏の口をついて出てくるのは、「やればやるほどに実感した」というIT部門のあるべき姿についての反省だ。

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IT部門のあるべき姿の反省。従来のITは、営業社員に対して、デスクでの短い時間しか支援できていなかった

 一般的にIT部門は、基幹業務システムをはじめとする社内システムを“守る”ことを自らのミッションと考えている。それは野村證券のIT部門においても同様であり、いかに障害をなくして可用性を高めていくか、ほんのわずかでもサービスレベルを高めるために全力を尽くしていた。

 しかし、日常的に社外に出かけている営業社員は、そんなIT部門の努力をどう見ているだろうか。営業社員が1日のうちでオフィスの自席でデスクトップPCに向かっているのは、せいぜい2時間程度にすぎない。仮に何時間にもわたってシステムがダウンしたとしても、まったく気づかないことも珍しくない。こうした根本的なところから、ITシステムに対する両者の意識には大きなギャップが生じているわけだ。

「IT部門が本来向き合うべきは、お客さまと営業社員が接する場面に向けて、どれだけ有益な情報を供給できるかという課題であるはずです。しかも、ネットワークとモバイルデバイスによって、公私の境界はますます曖昧になろうとしています。そうした中で現行システムを守ることだけに終始するのではなく、いかに柔軟にクラウドサービスを取り入れていくのか、程よいバランスを取りながら今後のITサポートのあり方を考えていかなければなりません」(藤井氏)

【次ページ】企業内SNSの導入で会議時間は1/10に短縮

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