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  • 2014/12/24

町の書店が希少なものになっては困る──かもめブックスが目指す「雑誌のような書店」

かもめブックス店主 柳下恭平氏インタビュー

2014年11月29日、地下鉄東西線・神楽坂駅のほど近くに1軒の書店がオープンした。その名は、「かもめブックス」。校閲会社「鴎来堂」が手がける書店ということも話題になり、開店前から注目を集めていた。本を作るうえでの一工程である校閲を専門とする会社が書店を開いた理由や、そのモチベーションについて、鴎来堂代表にして、かもめブックス店主 柳下 恭平氏にお話をうかがった。

危機意識が生んだ、校閲会社と書店

──かもめブックスは、校閲会社が母体であることがユニークですよね。そもそも、どういった経緯で会社を起こされたんでしょうか?

 柳下 恭平氏(以下、柳下氏)■校閲という仕事を知ったのは、本当に偶然だったんです。ましてや、仕事にするなんて思ってもみませんでした。高校を卒業してから、言葉とコミュニケーションに関心を持っていたので、海外のいくつかの国で働いたり、ぶらぶら国から国へと渡り歩いていました。結局、コミュニケーションの点では得るものがたくさんありましたが、語学という意味ではあまり役立たず……(苦笑)。

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かもめブックス

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──そこから、なぜ校閲の道に?

 柳下氏■帰国して東京で暮らし始めたのですが、ある時、家のポストに「飼っていた猫が逃げてしまいました。もしここに帰ってきたら捕まえてください」という前の住人からの手紙が入っていたんです。それからお付き合いが始まり、そのご縁で出版業界に入りました。

──本当に偶然ですね(笑)。

 柳下氏■同じ「読む」という行為でも、校閲と読書とはまったく違うものなんですよね。情報処理の在り方として「なんて面白いんだ!」とびっくりしました。その後独立して、鴎来堂を立ち上げました。

──わざわざご自分の会社を立ち上げたのはなぜですか?

 柳下氏■校閲って、一般的にはまったく知られていない仕事ですよね。価値を認めてくれる人がいなければ、私たちの仕事はなくなってしまう。だから、校閲という仕事をブランディングして、もっと多くの人に、この仕事の大事さを知ってもらうことが必要だと考えました。さらに、フリーランスのベテラン校正者は50代、60代が多く、しかも、それがそのまま上にシフトしていく業界なんです。また、出版に限らず、若い人を育てるのが難しくなっている現状もある。このままだと若い校正者が空洞化してしまうという予感があり、そこに危機感を感じていました。それが鴎来堂立ち上げの理由です。

──では、書店経営に乗り出した理由は何だったんでしょうか?

 柳下氏■直接的なきっかけは、同地にあった書店が今年(2014年)4月に突然閉店したことです。「町の書店が少なくなりつつある」という感覚はありましたが、自分の町の書店がなくなるのは、想像以上にショッキングな出来事でした。校閲の仕事があるのも本があるからであり、その本には売る場所が必要です。そのためにも「町の書店」という機能を守っていかなければならないと思ったんです。

──鴎来堂を立ち上げたのと同様、危機意識がモチベーションになっているんですね。

 柳下氏■はい。僕たち本好きは放っておいても本を読みます。一方、読まない人の家には本棚すらないかもしれません。限られたパイを取り合っていては、自ずと限界が見えてしまいます。ならばどうすればいいかと言えば、本を読む人自体を増やさなければならない。書店を作ったのは、その一助になれば、という想いからです。

【次ページ】 雑誌のような書店

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